「川越逍遥」 渡辺新吉さんの染色絵画展 9月19日~23日川越で 染色作家5人による作品展も同時開催

沖縄で紅型に惹かれ、染色技法で絵画表現

「川越逍遥・銀行」

 染色技法で絵画表現を進化させたというか…。その繊細な線と滲み効果、ダイナミックな構図、独特な色彩に惹きこまれる渡辺さんの染色絵画。
 今回、初公開される「川越逍遥」シリーズは、型染め技法でも3種のスタイルを組み合わせて、重厚な蔵造りの商家や白壁造りの蔵の窓、大正初期に建築された銀行などの作品を8~10点。「ことに屋根瓦や窓枠などのディテールを、表現したかった」と、渡辺さんは話す。
 「独特の色彩とデザイン感覚は、染色教室に入会した当初から際だっていました」と、語る元麻生染色工房(2017年閉廊)主宰者の麻生芬(かおり)さん(小平市)。渡辺さんは東京造形大学デザイン学科卒業後、独自の表現方法を求めて彷徨。沖縄の自然や伝統工芸、ことに紅型(びんがた)染めに惹かれ、再三沖縄へ。そのうち、渡辺さんの自宅に近い麻生染色工房で、紅型も学べることから、1994年に染色教室へ入会した。

独自の表現求めて公募展にも出品

「川越逍遥・芋菓子老舗」

 1950年代から紅型を基調に藍染、草木染めなどの高級呉服を手掛ける同工房で、渡辺さんは初歩から中級、訪問着や振袖などを染める上級まで6年かけて卒業。別の工房でろうけつ染めも学んだ。その間、よりフリーハンドな表現を求めて、京友禅に代表される筒描き技法に挑んだ。
 和紙と柿渋で塗り固めた円錐形の筒先から、絞り出す柔らかな線、顔料より透明な発色のできる染料で色を挿すなど、渡辺さん独自の表現を求めてきた。
 アートコンペや奄美を描く美術展、二科展、光陽展にも出品。高い評価を得ており、これからという矢先に手が震えたり、転ぶことも増えた。検査を重ねても原因不明のまま3年余り、49歳のとき、パーキンソン病と診断された。進行を遅らせることができても、治ることのない難病と闘いながらも、渡辺さんは制作に励んでいる。

病を克服するつもりで新たな挑戦

渡辺新吉さん。2017年日本新工芸展出品作「ソテツの雌花=筒描き」の前で

 病状に合わせて、筒描きから型染めに再挑戦中。渡辺さんによると、「川越逍遥」シリーズは、型染め技法3種のスタイルを組み合わせて、明と暗、陽と陰、onとoff状態と、画面構成がより複雑に。「病気は治る、治すつもりで探求を続けたい」と。アートと地域、暮らしとの関わり方も模索している。

■染客万来・染色作家5人の作品展

 同展では、元麻生工房染色教室卒業生仲間5人の作品展も開催。粟津京子さんは絞りと柿渋染め。石田英子さんは多種の染布に刺繍のコラボ作品。床井薫さんは渦巻絞り他。中恵美子さんは型染め、ろうけつ染め作品。三浦由美子さんは筒描き、ろうけつ染めを。
 19日~23日11~17時(最終日15時まで)。入場無料。袋物、はがきなど小物販売も多数。
 会場の服部民俗資料館(川越市指定有形文化財)へは、西武新宿線本川越駅から中央通り(蔵造り街並み)を北へ、徒歩15分。(小江戸巡回バス他バス便も)
問合せ電話番号049-222-0337同資料館。

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