子どもたちが大好きな夢ちゃん
毎朝8時、チキータが待っていた、小金井街道と五日市街道交差点に、夢ちゃんと飼い主の尾崎庸子さんの姿が見えると、「夢ちゃんお早う」と、10数人の児童たちの顔が輝く。「信号が青に変わったよ」と、見守りに立つ尾崎さんの母・永井孝子さんの合図で、夢ちゃんを先頭に一団は横断歩道を渡り、玉川上水右岸に沿った通学路を西へ。
生後5カ月の夢ちゃんは、登校パトロールを始めて2カ月余り。人間の年で言えば小学1~2年生、まだ甘えたい盛りで、キョロキョロしたり、立ち止まったり。「さあ前を向いて」と、尾崎さんがリードを引っ張ると、先頭切って歩き出す。
子どもたちが大好きで、パトロールの特訓中だ。小型猟犬ビーグルは命令に忠実で、褒められると頑張る犬種だ。
チキータありがとう心の中にチキータがいるよ
昨年6月26日、登校パトロールを11年続けたチキータは16歳で永眠した。その死が伝わると、お花を持参したり、涙を流しながら線香を上げに訪れたり、児童や父母、地域の人たちも次々に尾崎家に訪れた。チキータの仏前には、写真や児童たちから寄せられた手紙や似顔絵、折り紙で作ったメダルなどがぎっしり飾られている。小金井二小の眞壁玲子校長先生からは「雨の日も、風の日も、暑い日も寒い日も、子どもたちの登校を見守ってくれてありがとう」と、感謝状が贈られた。 校長室の前にメッセージ用紙を備え、ポストを設けたところ、120通以上も寄せられ、校長先生が冊子にして届けてくれた。 「チキータのお陰で朝はキラキラ、楽しく学校に行けたよ」「転校してきて心配だったけど、チキータに会うと元気になった」「心の中に、チキータがいるよ」など、児童たちの熱い気持ちが伝わってくる。
パトロール犬仲間の協力で夢ちゃんもハッスル

ペット雑誌やネットを通して良心的なブリーダーに巡り会い、昨年9月、生後2カ月で尾崎家にやって来たのが夢ちゃんだ。チキータの幼い頃にそっくり!
また、チキータが亡くなった後、同小PTAに登録しているパトロール犬仲間が気遣って、門前に集まってくれるようになった。 現在、登録しているのは18世帯、20頭余りがそれぞれの散歩時間に、通学区域の防犯パトロールにも協力している。
取材した日もボーダーコリー犬フレン、マルチーズ犬かんた、コーギー種ベル、黒柴犬マロが登校児たちとふれあい、ワンちゃんどうしの交流も楽しんだ。新米の夢ちゃんのテンションは上がり、「二代目、頑張れ」と励まされていた。
▽「わんわんパトロール」=犬の散歩で町を見守るボランティア活動。夢ちゃんらは小金井警察署・小金井国分寺防犯協会登録犬。