アグレッシブなセカンドライフを 立ち上げて4年目 ㈱アーバンファーム八王子

 長寿社会となり、70代まで現役で働く人生設計を目指す時代。大手企業を55歳で早期退職して就農。八王子市小比企町の農地50㌃(約5000平方㍍)を借り、株式会社「アーバンファーム八王子」を設立して4年目。年間約50種の野菜栽培を通して、異業種の様々な年齢の人たちとも交流。セカンドライフとして、都市農業にアグレッシブに取り組んでいる現場を訪ねた。

組織に縛られない第2の人生を

今夏初めてナスの摘み取りをする続橋さん(左)と水野さん

 京王高尾線山田駅から南に2㌔あまり、湯殿川沿いに広がる農地の一角に立つ鉄パイプ造りの小屋が「アーバンファーム八王子」の本社で、作業所兼倉庫、事務所も兼ねている。「八王子駅から車で15分くらい、耕作地として絶好の環境です」と迎えてくれた代表取締役の続橋(つづきはし)昌志さんと取締役の水野聡さん。共に59歳。
 二人は大手企業の同期入社で、第一線で活躍してきたが、50代を迎えた頃から、「組織に縛られないセカンドライフを」と考えるようになった。千葉市の自宅から新宿にある会社まで、往復3時間の通勤時間も勿体ない。1日3時間、30年間では3年間も車内で過ごしたことになる。
 同期入社のもう一人と3人で、セカンドライフについて話し合う機会を重ねた。「自分たちにできること」「自然の中で身体を動かせること」「食べ物を作ることにも関わりたい」と。選択肢の第一候補が農業だった。

師と仰ぐ中西忠一さんとの出会い

ナスの採り入れ作業中、小型運搬車で通りかかった中西さんと

 町田市と立川市にある体験農園に3人で通った。「トマトの味が違う!」と、立川の体験農園で収穫したトマトの味に、やる気が湧いた。農地の有効利用と担い手育成の活動をしている一般社団法人「東京都農業会議」の短期研修にも参加。研修先の中西農園(八王子市小比企町)の中西忠一さん(81)との出会いが、3人の背中を押した。
 中西さんは日本農業賞で優秀賞他数々の賞を受賞。都市農業のお手本的存在だ。「長男の真一さんと作っている野菜が見事で旨い。半年の研修のところを1年間やらせてもらった」と。

畑から抜いてきたばかりの大根

 師と仰ぐ中西さんの口利きで、4~5人の地主から50㌃の農地も借りられることになり、2015年3月に3人は55歳で退職。12月1日に「アーバンファーム八王子」を設立した。株式会社にしたのは、事務処理を効率的にするためだ。

雑草を育てているのかと笑われることも

収穫した野菜は水圧で素早く土を落とす 

 早期退職で最もネックになる妻子の説得には、早期退職金を元に、人生設計を綿密に試算し、質素ながらも暮らしを維持していけると、続橋さんは話し合いを重ねた。水野さんは「妻も農作業に関心があったから、同意を得られた」とのこと。
 3人でスタートしたが、一人は夫婦それぞれの親の介護に専念せざるを得なくなり、親元へ転居した。「残念でしたが、50㌃なら二人で耕作していける規模」とのこと。

ちょっと大きくなりすぎた蕪をフードバンクに届ける水野さん

 現在、小松菜、ホーレンソウ、蕪、大根、トマト、ナス、生姜、オクラなど年間約50種を栽培。中西さんには「雑草を育てているのか?」と、笑われるほど後手に回りがちだが、町内にある「ねぎぼうず農産物直売所」に出荷する他、「技と心のマルシェ」に参画。儲からない仕事だが、八王子フードバンク、子ども食堂にも野菜を届け、喜ばれている。様々な分野の人、ボランティアたちとの交流が励みになっている。養護施設の青少年の農業体験も受け入れている。
 同ファームのHPは http://ufh.tokyo

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