藍・縞木綿のある暮らし

蔵ショップ「とわ樹」 小金井市

「着るほどに色が落ち着き、身体に馴染んで」と、武州藍染刺し子織りのジャケットコートを愛用している貞方直子さん

 小金井市本町の北大通りにひっそりと建つ、元美術品収集家の収蔵庫だった4階建ての白壁の蔵。その2階を改装して、貞方直子さんが織元を訪ねて求めた、藍染めや絣(かすり)、縞木綿生地を自らデザイン。自社制作した衣服やバッグ、帽子、日傘、年代物の器などを展示販売している「とわ樹(じゅ)」が開店して3年半に。海外からもフアンがツアーで訪れ、注目を浴びている。

夏涼しく、冬温かい 藍染、縞木綿を自ら日常着に


蔵づくりにしては珍しい4階建ての2階が「とわ樹」

 白い手すりの階段を10段上ると、時代物の絣の半纏や着物などが店頭に。約65平方㍍ほどの店内は、昭和初期に建てられたレトロ調の飾り棚や天井、床はそのままに、藍染・縞木綿の衣服やバッグ、端切れ、生活雑貨などが落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
 迎えてくれた貞方さんは、自分でデザインした藍染のコートジャケット姿で、「これ、柔道着に使われる武州藍染刺し子織り。襟と袖口は身頃と同じ藍染布ですが、ウオッシュ加工で何度もこすり洗いして、明るいブルー地に」と、にっこり。後ろの裾と袖口にスリットを入れて、現代調にアレンジ。下に薄手のチュニックなどを重ね着して、マフラーかスヌードで首回りを保護すると、真冬でも外出着になる。
 オフホワイトの備後絣と藍染木綿の2枚重ねコートも重宝で、重ね方を変えたり、それぞれを羽織ると、4通りの着こなしが楽しめる当店オリジナル。「藍染木綿は防虫、抗菌効果があり、夏涼しく、冬温かい」と、貞方さんは日常着にしてきた。

衰退していく伝統産業の生産地を訪ね歩く

藍染、縞木綿地の洋服や袋小物、時代物の器、古道具など日本の美意識にも触れることができる店内

 惣菜やおやつ、着る物も母親の手づくりで育った貞方さんは、子どもの頃から料理や縫い物が好きだった。ことに藍染の服が好きで、母親と東京・中野区で小料理屋を営んでいた当時も、藍染の半纏姿で築地市場に通っていた。職人着、野良着、漁師着、作務衣、柔道着などに愛用されて来た藍染産業が衰退していると聞いた。小料理屋をたたんだのち、母親の介護の傍ら、貞方さんは古くから日常着として愛用されてきた藍染、絣や縞木綿などの生産地を訪ね歩くようになった。伝統美にこだわる織元では、百年近く前の自動織機で、あえぐように生地を織り続けていた。
 仕入れた反物で縫った洋服を着ていると、「あら素敵! 私にも縫って」と、頼まれることも多くなった。希少価値のある生地や古布を、洋服や生活雑貨として、日常に活かすことを仕事にしたい。その思いを募らせた。

シンプルで着心地のいい服を

 4、5年前のある日、夫と散歩していたら、白壁の4階建ての蔵が目に止まった。昭和13年に建てられた貴重な建物で、シャッターは下りていた。様々な出会いを通して、オーナーから蔵の2階を借りられることになった。
 藍染を中心に備後絣、阿波しじら、松阪木綿、久留米絣、武州藍染め木綿などの風合いを生かして、上質でシンプルで、着心地のいい、年齢を問わず愛用できる服、生産者が見えるモノづくりを目指して、株式会社永遠(とわ)樹を設立。蔵ショップ「とわ樹」を3年半前に開店した。「藍・縞木綿のある暮らし」を提案していきたいと思っている。
 貞方さん自身で縫製している製品も多く、年2~3回開かれる都内のデパートでのイベントでも好評だ。1000円から買える縞木綿の端切れ、くるみボタン、雑貨なども愉しい。オリジナル衣服は2万円台から。

 ■同店へは武蔵小金井駅北口から小金井街道を北へ、本町交差点を東へ約200㍍行った右側。小金井市本町2・14・13。11時~18時営業。月、火曜、祝日定休。電話番号042-207-0637とわ樹

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