江戸伝統の風味 東京しゃも

 酉年(とりどし)の新年。東京都地域特産品の東京しゃもの生産者を訪ねた。しゃもは闘鶏用の品種で、漢字で軍鶏と表す。現在は品種改良によって肉の味はそのままで、しかも飼い易いしゃも鶏になっているという。立川、青梅、あきる野市の4人の養鶏家による東京しゃも生産組合では専用の飼料で大事に育てられている。コクのあるしゃも肉で本来の鶏肉の旨みを味わってみては。

養鶏にベストの地で育成

東京しゃものつがい。雄は胸の筋肉が発達している

東京しゃものつがい。雄は胸の筋肉が発達している

 東京しゃも生産組合長の浅野良仁さん(81=あきる野市)を訪ねた。五日市線秋川駅から車で10分。なだらかな斜面を入るとユズ、柿、梅など果樹に囲まれた母屋に続く鶏卵販売所があり、斜面の上部に鶏舎が並ぶ。昭和39年(1964年)、養鶏に適した地を求めて、府中からあきる野に移転。「北裏に山、南に川(平井川)と田んぼ、風通しの良い南斜面、そして開放鶏舎。そよそよと自然の風により、夏でも鶏舎に扇風機がいりません」と浅野さん。
 鶏舎独特のにおいがまったくしない。敷地面積約1000坪、採卵鶏としゃも各5000羽を飼う。
 生まれて2日目のしゃもの鶏舎にはストーブが入っていた。採卵用の鶏は寒さに強いが、原産地がタイのしゃもは寒さに弱い。だから子どものしゃもの鶏舎は20度以下にならないように気をつける必要があるという。

ブロイラーより2倍半の時間をかけて育成

 ブロイラーは50日から60日で出荷するが、東京しゃもは120日以上と、じっくり育てる。しゃもの雛は採卵鶏より一回り小さくて環境にデリケートなので、育て上げるには気を使う。「しかし4カ月もすると雄は3㌔を超えるほど大きくなり、私の前で威張って見せます。その勇姿が好きですね」。
 植物性タンパク質と動物性タンパク質を絶妙のバランスで配合し、ポストハーベストフリーのトウモロコシがたっぷり入った専用飼料で飼育。これが東京しゃもの味の秘訣だ。
 東京しゃもの開発は、伝統あるしゃも肉の味を再現するため、旧東京都畜産試験場(現在の東京都農林総合研究センター)と老舗の養鶏家代表が十数年かけ、昭和59年に確立した。ブロイラーに比べてたんぱく質に富み、脂肪が少ないしゃもの血統を75%も受け継ぐ。「まさに、この東京で江戸伝統の風味が生きた鶏肉を蘇らせたわけです。多くの方に鶏本来の味を楽しんでもらいたい」と浅野さんは言う。

食べる、買う

東京しゃものメニューが豊富な石臼挽手打ち蕎麦「いぐさ」

東京しゃものメニューが豊富な石臼挽手打ち蕎麦「いぐさ」

 多摩地域では石臼挽手打蕎麦「いぐさ」(秋川駅から車で6分)で東京しゃもの料理が食べられる。しゃものつけ蕎麦、軍鶏丼(共に1450円)など。店主の井草利一さん(75)は「軍鶏丼は2年がかりで味を完成させました。東京しゃもはかむほどに肉からにじみ出る鶏の味が広がる」と絶賛する。

浅野さんの鶏卵を使ってフワトロの軍鶏丼

浅野さんの鶏卵を使ってフワトロの軍鶏丼

 秋川ファーマーズセンター(東秋留駅から徒歩10分)で東京しゃもの肉を買える。正肉スライス250㌘1600円。ウインナー200㌘980円(税込み)など。

■東京しゃも生産組合 
あきる野市菅生347。浅野養鶏場内。電話番号:042-558-7439、FAX:042-558-7449
■秋川ファーマーズセンター 
あきる野市二宮811。福生駅からもバスあり。9時~17時。電話番号:042-559-1600
■石臼挽手打蕎麦「いぐさ」
あきる野市雨間673・4。定休日毎週木曜日と第三金曜日。営業時間11時~15時、17時~21時。駐車場11台。電話番号:042-558-8590

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