算数が面白くなる! 「国分寺市算数教室」で教えて24年目 -片桐重男さん・93歳-

 人生90年の時代に向かいつつあるが、片桐重男さん(国分寺市)は93歳にして、数学教育界の第一線に立ち、学校の先生たちへの研修や自主研究会を率先。「頭が柔らかい」と評判だ。小学6年生を対象にした地元の「国分寺市算数教室」でも、「4けたの数の加減ゲーム」や「水がはかれるかな?」など、独自の授業を月1回、年間10回を続けて24年目を迎えた。

ゲーム感覚で算数にチャレンジ

毎回、趣向のある出題で子どもたちをひきつける片桐先生=国分寺市

毎回、趣向のある出題で子どもたちをひきつける片桐先生=国分寺市

 風薫る今月12日、国分寺市ひかりプラザ(光町1・46・8)で、今年度の「国分寺市算数教室」開校式が開かれた。市内在住在学の小学6年生44人に父母、見学者を前に、「学校の算数の授業とはちょっと違って、考えること、学ぶことが楽しくなるよう、ゲーム感覚で算数の問題にチャレンジしよう」と、片桐さんは呼び掛けた。
 授業は、片桐さんが問題作成した『楽しい問題』へのチャレンジ集に従って、この日は「4けたの数の加減ゲーム」をスタート。「4けたの数ABCDを配られた紙に書いてみよう。ただし、AはD+1より大きい数に」と、片桐さんが児童たちに促す。戸惑っていると、「3478だとAの数がD+1より大きいかな?」と、10数人の算数教室指導員たちがサポートを。ハッと気づいてスラスラと書き始める児童たち。児童たちが数字を書いた紙で黒板は埋まった。

児童たちの目の色が変わる

会場は児童、保護者、指導員、研修生で熱気に包まれた 

会場は児童、保護者、指導員、研修生で熱気に包まれた 

 片桐さんは元都立高校の数学教師で、都立教育研究所数学教育担当の指導主事を務めた後、横浜国立大学と文教大学教授として教壇に立ち、70歳で退官。「国分寺市でも算数教育の役に立ちたい」ともちかけたら、是非にと同市教育委員会主催で、算数教室が始まった。
 以来24年目、これまで参加した児童は延べ1000人以上になる。算数、数学は苦手意識の最も高い教科とされるが、「片桐先生の算数教室は毎回、新しい趣向があり、児童が問題の意味や決まりごとに気づいたとき、目の色が変わるのに感動します」と、指導員の皆さん。

数学的な考え方を育む

4けたの数の加減ゲーム。A>D+1の条件下で4けたの数ABCDを1つ決める。この数から数字の順を逆にした数DCBAを引く。その答えに、今度は答えの数字を逆にして足す。①B=Cの場合は10989に=写真は児童のノートより。 ②B>Cの場合は10890に。③B<Cの場合は9999になる

4けたの数の加減ゲーム。A>D+1の条件下で4けたの数ABCDを1つ決める。この数から数字の順を逆にした数DCBAを引く。その答えに、今度は答えの数字を逆にして足す。①B=Cの場合は10989に=写真は児童のノートより。 ②B>Cの場合は10890に。③B<Cの場合は9999になる

 都の指導主事時代、片桐さんが設けた数学教育研究会から、自主研究会が4カ所も誕生。いずれも毎月の研究会には、現役の教師やOBが70~80人も参加するほど人気と熱気に溢れている。この日、受付から会場設営、指導員も務めた10数人はいずれも自主研究会のメンバーで、30~40年来の仲間も多い。
 「4けたの数の加減ゲーム」は、黒板のような数式で、引き算と足し算をすると、B=Cの場合は10989になる=写真下右参照=ことを、児童たちは様々な数字で確かめ驚いていた。
 「算数は答えを出すことでなく、大事なのは式に書いて、証明すること」と、片桐さんは数学的な考え方を育むことに力を入れている。この日、見学者には理数系大学・大学院生も多く、「こんな算数の授業を始めて経験した」と、上気していた。
 数字マジックのような問題を、いつ思いつくのか尋ねたところ、「夢の中や日常の生活の中でひらめいたことを、とことん追求して行く」とのこと。「だから先生の頭は年取らないのね」と、終了後の昼食会でも、指導員たちと盛り上がっていた。

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