「本を捨てないで!」 小平市に誕生して半年  plans(プランズ)

古本のネット販売で就労支援

寄せられた本の仕分けに忙しい代表の稲葉創さん

寄せられた本の仕分けに忙しい代表の稲葉創さん

 「本を捨てないで!」とチラシで呼びかけ、電話一本で古本、古雑誌を回収。選別からしみや汚れの払拭、PCデータ入力をして古本ネットで販売、郵送までの作業を、発達障害などハンディを持つ人たちで手掛けている事業所「plans(プランズ)」が誕生して半年。小平市仲町にある同事業所を訪ねてみた。

二人の目で点検し手間かけてクリーニング

紙やすりも大事なリメーク道具のひとつ

紙やすりも大事なリメーク道具のひとつ

 小平駅南口から徒歩8分余り。青梅街道との交差点近くのアカシアビル2階にある同事業所のドアを開けると、明るく広々とした作業フロアで、利用者たちが寄せられた本の埃を払い、1冊1冊をこまかく点検。ネットに出品できる本とできない本を選別してから、しみや汚れのある箇所やページには、「しみ」「書き込み」などと書いた付箋を付けていた。
 同事業所を立ち上げた代表理事の稲葉創(はじめ=38)さんによると、本の点検は必ず二人がそれぞれ目を通して、見落としのないようにダブルチェック。消しゴムやエタノールを染み込ませた布、紙やすりなどを使ってクリーニング作業を。古書店で手に入れた本に付いている値段シールなどは、シール除去液を吹き付けてから、専用へらで丁寧にはがす。
値段シールは専用除去液を吹き付け、ヘラで丁寧にはがす

値段シールは専用除去液を吹き付け、ヘラで丁寧にはがす

 ネットに出品できる本は、スキャナでバーコードを読み取るか、題名をPCで入力。著者、価格、本の状態などの入力作業から梱包、発送まで入念な作業が続く。
 古本ネットで取り寄せた本に、こんなにも手間が掛けられているのか…と、胸が痛くなった。

能力や意欲に応じた働き方を

スキャナーでバーコードを読み取り、ネットに出品

スキャナーでバーコードを読み取り、ネットに出品

 福祉系大学を卒業後、障害者の入所施設や通所作業所で15年働いてきた稲葉さんは共同作業所で、対人関係やコミュニケーションが苦手で、働くことに向かない障害者を多く見て来た。「発達障害者や一部の精神障害者の場合、こだわりが偏り、自分のペースで働きたい傾向が強い。そんな意欲と能力を引き出せる仕事として、ネット古書店を開拓した」と言う。「通勤途中、本や雑誌の束がごみ置き場に置かれていることもしばしば。このままごみになるのは…」と、気になっていた。
 同事業所は「障害者総合支援法」に基づく就労継続支援B型事業所で、利用者とは雇用契約を結ばず、最低賃金がない代わりに、利用者の希望や体調で働く日数や時間を選べる。本の売り上げ利益が賃金として支払われる。
 現在、職員は稲葉さんを含めて3人、利用者は5人で、一日20~30件の購入申込みがあるそうだ。

就活と地域貢献にも一役

 同事業所の書庫スペースの三方の書棚には、ネット掲載日ごとに仕分けされた書籍が4500冊前後も、整然と並んでいる。「本を捨てないで!」と書いたA5サイズの小さなチラシを、同事業所周辺にポスティングしただけで、「亡夫の書斎を片付けてくれないか? 足が悪くて2階に上がれないから」と、高齢の女性から頼まれるなど、終活に備えた蔵書の寄贈が徐々に増えている。中には、裏千家前家元の茶道の豪華本など、その人の一生が凝縮されたレアな本も。
 「本に再活躍の場を与え、地域貢献と共に障害者を支える糧になれれば幸いです」と、稲葉さんは静かに笑った。
 同事業所では、ネット販売に出品できない本で、まだ利用できる本を均一低価格で提供するボックスを、店頭やフロアに置かせてくれる場所、イベントも求めている。

 ◇就労継続支援B型事業所「plans(プランズ)」=小平市仲町425-12アカシアビル201 電話番号042-313-6254、平日9時半~16時半。

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