なにげないしぐさを捉える 創作人形展「下川明子の世界」2月22日から羽村市で

 陽だまりでほおづえをつく男児、お出かけ前の洋服を決めかねている女児、森の中で戯れる幼児たち…。今にも語りかけてきそうな一体一体を、日の出町の自宅工房で創り上げてきた下川明子さんの創作人形展が、2月22日(水)~3月5日(日)、羽村市生涯学習センターゆとろぎで開催される。30年余かけて創作した60体が、それぞれの表情で迎えてくれる。

素材へのこだわりから創作意欲を

最新作「しらうめ保育園児」

最新作「しらうめ保育園児」

 「ごめんね、思うようにできなくて」と語りかけながら、下川さんが赤い日除け帽を、園児像の頭に被せてみる。1年かけて創り上げた最新作「しらうめ保育園児」は、10体が丸太材に腰かけて煎餅をかじっている。一体一体の表情も衣服もスニーカーの色も形もそれぞれで、今月初めまで仕上げに追われた。
 昨年3月、同センターで開催されていた市内保育園の紹介展で、下川さんは市立しらうめ保育園の園児たちの写真を見て、人形にしたいと思った。
 園から許可を得られたものの、まずスニーカーの素材に悩んだ。服飾材料店やホームセンター、古着屋など探し歩いたが、適当な材料が見つからない。半ば諦めて100円ショップに立ち寄ってみた。ジッパー付き鉛筆入れが使えそうで、ソールは樹脂粘土で何とかなりそうだ。「やっと制作に取り掛かかれる」と、下川さんは写真を見ながら、園児たちのスケッチに取り掛かった。スニーカーは空豆大ぐらいだが、素材と自然体へのこだわりが凝縮されている。

人形たちは難産の結晶

下川明子さん

下川明子さん

 スケッチをしながら、顔の表情や動き、全体像のイメージを下川さんは頭に描く。人形の頭の原型を粘土で造り、石膏で型を取って和紙を張り重ね、10体の人形の頭を造る。その頭を肌色の布でくるみ、ボディを作りながら髪型や衣服の素材やデザインを考えるなど、気が遠くなりそうな工程を経て、出来上がった人形たちは、難産の結晶だ。
 糸が好き! 布が好き! 手仕事が好きで、30年ほど前、与勇輝(あたい・ゆうき)さんの創作人形展でピエロにしびれた。与さんの人形教室で4年学んだが、パターン通りの制作では飽き足らなくなり、自分探しでもやもや。

夢を持ち、健やかに!人形たちは難産の結晶

「まどろむ」

「まどろむ」

 ‘89年、自宅の改築を機に工房を設けた。手作りファッションの展示販売を数年、人形も自分の創りたいものをと、本格的に取り組み始めた。実母を2歳で亡くしたので、幼児や少年少女、母子の情景を多く創っていたが、「指先に神経を集中させながら人形と向かい合っていると、夢は膨らみ、新しい自分に出会って」と語る下川さんだ。
 「矢車草」と名付けたのは、和服の胸をはだけた妖艶な女性像で、「明子さんにも、こんな色っぽさがあるのか」と、驚かれた。最新のファッションを身に付けながらアンニュイな雰囲気を漂わす「まどろむ」など異色の人形も。
 写真集で惹かれて取り組んだ「アーミッシュの子どもたち」の近作、森の中で切り株に腰かけたり、おしゃべりに夢中の少女や仲間に背を向けた幼児などで構成した大作「森の幼児園」には、下川さんの思いが込めてある。「夢を持って、健やかに育って欲しい」と。
 人形は丈30~60㎝ぐらいで、手や足の指先まで、繊細に造られており、見る人の思い出や童心も、蘇らせてくれそうだ。
 ▽同展は3月5日まで(27日休館)10~17時(最終日16時まで)、入場無料。
25日13時から下川さんとの交流会。羽村市のゆとろぎへは青梅線羽村駅東口から徒歩8分 TEL042-570-0707

Comments are closed.