夫婦で20年 新小金井駅前 炊きたて・握りたて 握飯屋

 ご飯を手塩で握るだけのおにぎり。お結びとも呼ばれ、“おふくろの味”の代表格で、日本のソウルフード。その専門店やチェーン店も多く、コンビニでも主力商品の座を占めているが、「炊き立て、握り立てで、ほっこり美味しい! 具材も豊富」と評判で、熱いファンの多い「握飯屋」があると聞いて、西武多摩川線新小金井駅前の同店へ。

シンプルでごまかしがきかない

「握るというより、手首のスナップを利かせて…」と、息もぴったり塚田さん夫妻

 武蔵境駅から西武多摩川線で一駅、新小金井駅改札口から線路を横断。ロータリー前のレトロな店舗に、「握飯屋」と手書きした小さな看板が目印だ。
 「いらっしゃい」と迎えてくれた長身の塚田康博さん(58)は、日焼けしてスポーツマンタイプだ。同店を開いて20年、以前は武蔵境駅前でラーメン屋を開いていたが、立ち退きを迫られ、出会った物件が5坪(約17平方㍍)のこの店舗だ。
 「ラーメン屋にはスペース的にも無理で、単品商売をあれこれ考えた末に、握り飯屋に」とのこと。握り飯は特に難しい調理技術はいらないが、ごまかしが利かないだけに、食材にはこだわった。
 米は生地に寄与したいと秋田県産と決め、県内の生産者を訪ね歩いた。結果、八郎潟干拓地・大潟村のあきたこまち生産者協会より、有機農法米を直に仕入れている。
 塩や具材は当初、メーカーや商店に片っ端から電話をかけ、目と舌で選び抜いた。塩は長崎・五島灘産、鮭は石狩産の紅鮭、海苔は築地の老舗丸山海苔店…と、厳選している塚田さんは「まだ改良中」と言う。

握るというより手のひらでキャッチボール

販売は種別にシールを貼った透明パック入り。写真は盛り付け例

 おにぎりは何と言っても、ご飯の炊き方と握り方が命だろう。カウンター奥の調理場で、2升(約3・6㍑)炊きのガス釜で、1回に2・5㍑ほど炊き、ジャーで保温。妻の俊子さん(56)とコンビで、注文を受けてから素手に塩を付け、握るというより、両の手のひらでキャッチボールしているように7~8回。「こうするとふっくら仕上がる」と俊子さん。三角結びと俵型も1個100グラム前後。
 洗った米を常に冷蔵庫に備えて、こまめに炊き、炊き上がりを提供するようにしている。具材もそれぞれに下ごしらえしてタッパーに。
 現在、常備しているメニューは人気ベストスリーのチャーシュー(叉焼)、しゃけ、チャーマヨ(叉焼のマヨネーズ和え)など15種。加えて月替りと週替りのお奨めも。塩むすびと醤油むすびは1個115円、その他は125円~155円。秋には週替りで栗ごはんが登場することも。

多国籍のおにぎりファン 近隣には宅配も

来客との会話も楽しんでいる塚田康博さん

 取材中にも、4~5歳男児と母親、国際基督教大学や東京外国語大学の男女学生、周辺を担当している営業マンなどが三々五々に訪れる。近隣のアメリカンスクール女性教師は自転車で訪れ、「夏休みは何処へお出かけですか?」「サマーバケーションはタイへ」と、塚田さんとのやりとりもフレンドリーだ。友人から美味しいと聞いて常連になったとか。
 3~4人も入れば満杯になる店内だが、国際色豊かで、おにぎりファンが多いのに驚いた。土日の昼時は行列ができる。小金井市内と三鷹、武蔵野市内には宅配も無料でしており、学園祭などイベントシーズンには、100~300個の予約も。黄色い車体の小型バイクで塚田さんが配達している。

宅配は塚田康博さんが愛用の黄色ボディの小型バイクで

 ▽「握飯屋」小金井市東町4-5-9。8時~18時営業、月曜定休。電話番号042-388-3368。
 *宅配は5個以上、地域により10個以上から。

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