90年前、雑木林から国立町が誕生 -駅前のロータリーに水鳥小屋-

開発当時の写真展 6月29日まで

水禽舎。日除けの屋根が付き、設えた岩から水が流れている

水禽舎。日除けの屋根が付き、設えた岩から水が流れている

 国立駅南側の整然と区割りされた町並みは、大正から昭和にかけて箱根土地株式会社が開発した。ヨーロッパの都市計画から学んだ国立の町づくりの様子を記録した第1回写真展(50点)が国立市のギャラリー「明窓浄机館(めいそうじょうきかん)」で開かれている。撮影したのは、箱根土地の取締役だった中島陟(のぼる)さん。ほとんどが未公開の写真とあって、ギャラリーには昔を懐かしむ人だけでなく、若い人も集まっている。

水鳥を見に円形公園に集まる人々

水鳥を見に円形公園に集まる人々

 建設途中の三角屋根の旧駅舎の骨組みや、雑木林を切り開いて作った道を乗合自動車が走る姿を写したものなど、国立駅南口一帯が雑木林だったことがわかる写真が並ぶ。
 その中に駅前ロータリーの中心にある円形公園に人が集まっている写真と、小屋の中で、ペリカンやカモなどの水鳥が羽を広げていたり、池で水浴びをしたりしている写真があった。写真の背景はまさしく国立駅だ。「ロータリーに水鳥小屋があったなんて驚きです」と国立在住30年という田中京子さん。

学園都市建設の熱意が伝わる

現在の国立駅南口。円形公園の池は水禽舎の名残

現在の国立駅南口。円形公園の池は水禽舎の名残

 撮影をした中島陟さん(1889~1958)は、堤康次郎箱根土地社長の妻の妹婿。東京外国語大学ドイツ語科を卒業後、宮内省に勤務。その後堤社長に引き抜かれて、都市建設の勉強にヨーロッパ各地を回り、都市のあり方を学んだ人だ。
 写真のネガを保管していた長男の渉(わたる)さん(2010年他界)の妻、中島久榮さん(港区)が、市民グループ「国立の自然と文化を守る会」に提供。同会会員である佐藤収一さん(71)が写真展を企画した。学芸員の資格を持つ渡辺彰子さん(国立市)が譲り受けた写真300点の中から国立市に関係するもの150点を選んだ。
 会場には100万坪の開発・分譲が始まった大正15年当時の宣伝広告のチラシ、絵なども展示。「国立の町にはこんな洋館が似合うと書かれたチラシを見ると、学園都市建設に携わった人々の意欲、夢が感じられる」と佐藤さんは言う。渡辺さんも「90年前の写真ですが保管状態は良好。1枚1枚が貴重な宝物です。是非多くの人に見てほしい」。
 参考として当時のカメラも展示されている。

3回に分けて展示

中島陟さんの写真を囲んで。(左から)写真の展示に携わった豊島義夫さんと渡辺さん、佐藤さん

中島陟さんの写真を囲んで。(左から)写真の展示に携わった豊島義夫さんと渡辺さん、佐藤さん

 第1回展は3月30日まで(3月8日まで一部国立二小の卒業展を開催)。造成工事、国立駅舎落成祝賀会、町のエピソードなど。第2回展は4月2日~5月18日。関東大震災で被害を受けた神田一ツ橋にあった東京商科大学(現・一橋大学)の新校舎や兼松講堂を建設している写真や国立駅舎、商店など建物群を中心に展示する。第3回展は5月21日~6月29日。線路工事、機上から撮影された開発初期の姿など。

ギャラリー明窓浄机館は国立駅南口富士見通りを歩いて10分。
10時~17時。日曜・祝祭日は休み。500円(小学生以下無料)。
電話番号:042-576-0551サトウ。

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