なぜか人々が集う小さな神社 高尾の浅川金刀比羅神社

 高尾駅西側にある通称「高尾のこんぴら山」(256㍍)の頂上にある浅川金刀比羅(あさかわことひら)神社は社殿に少しの境内だけの小さな神社だ。第一日曜日には社殿前で「ピックニック」と呼ばれる一品持ちより交流会が開かれている。宮司の奥田靖二さん(77)が個性的である上に、オーストラリア人の女性神主がいるからか。日本人だけではなく外国籍の人も集まって人種を超えたコミュニティがそこにはあった。

15年間毎月「ピクニック」に参加

れでも参加できる第一日曜日の集い「ピクニック」=2月2日

 宮司も誰もいない神社が多くなっている今、急斜面の山頂という足場の悪い浅川金刀比羅神社にはなぜ人が集まるのか。氏子制度もなく、神職はみんなボランティアと聞く。
 高尾駅南口から徒歩20分。初沢川に沿って南へ。右の三和団地内の坂を上り、右に左に折れる急な階段の先に鳥居が見えてきた。この日、2月2日は第一日曜日なので、一日早い節分祭の後「ピクニック」が行われた。
 昼になって社殿前にテーブルが組み立てられ、持ちよりの料理と酒類が並ぶ。30年以上も前から続いている交流会とか。この日は外国人が3人参加。2人は地元から、1人は友人の案内で都内から。70代の大塚英史さん(府中市)は15年前から。ウォーキングの途中に同神社に寄ったらたまたま「ピクニック」の日だった。「いろんな人が来て、自由に話せるから楽しい。空気も澄んでいて気持ちがいい」と。確かに山の上なので、車のエンジン音も聞こえない。不思議な空気が流れる。

焼失から神社を再建

節分祭で社殿に揃った宮司と神主たち。左から2人目がケイトさん

 30年ほど前、このお山の開発計画が起こって、神社の存亡が危ぶまれた。山の中腹には大戦末期に掘られた中島飛行機の秘密地下壕跡があり、その遺構も保存の必要がある。「住民たちが運動して開発を止めて、山の自然を守った歴史があります」と奥田宮司。
 さらに1998年、放火により、社殿が焼失した。その時も、住民たちが力を合わせて、資材を山の下から上げて神社を再建した。 以前から環境問題を現場で学びたいと反対運動に加わっていたケイト(ケイトリン・ストローネル)さんは、その住民の姿に感激。2003年、神社と山の自然を守ろうと神主の資格を取る。同神社には他に女性神主が3人ともう一人の外国人女性神主パトリシア・オムズビーさん(アメリカ出身。現在静岡県に在住)がいる。そのことも後おしとなった。

平和を守るために活動する宮司

2月2日、節分祭で参加者に福豆を配る奥田宮司

 宮司の奥田さんは、元・八王子市の小学校教諭。子どもの文化研究所所員。マジックの腕もプロ級だ。54歳で教壇を離れる。奥田さんもこんぴら山の自然を守るために神職について20年になる。
 「平和の祈りを行動の波へ」をスローガンに掲げている「日本宗教者平和協議会」の代表委員の一人で、「戦争法の廃止を求める宗教者の会」事務局長でもある。
 4年前、安保法の廃止を求めて国会前の集会で「掛けまくも、かしこき大神等、この戦争法を許したまわず」と祝詞をあげたことでも知られる宮司だ。
 「自然と平和を守りたい」と活動する宮司がいると聞いて来る人もいる。
 浅川金刀比羅神社では毎月10日が月例祭。第一日曜日昼から参加自由の一品持ちより交流会「ピクニック」。4月29日は春の大祭。
 電話番号0426-61-3905奥田さん

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