「あたりまえ」を奪いかえす 国立市人権週間事業 体験劇「絹子ものがたり」初演 -12月11日国立市で-

重度しょうがいしゃが地域で生きる

頭を支える人、文字板を読む人、文章にして相手に伝える人など、絹子さんが会議に参加する時は、介助者も5人がかり

 国立市は人権週間事業として、重度しょうがいしゃで自立して市内で44年間暮らしている三井絹子さん(74)の闘いの半生をテーマにした書き下ろし体験劇「絹子ものがたり」をくにたち市民芸術小ホールで初上演する。作・演出・出演は三井絹子さんと、しょうがいしゃの自立支援を行っているライフステーション ワンステップかたつむりの仲間たちと市民、支援者たち。

本当に体験したことを劇で伝えたい

「差別をしない、させない子に育てたい」絹子さん流の子育てを回想するシーン(以上2点は稽古から)

 「絹子は生まれてすぐに高熱が出て、言葉を失い、身体がぐにゃぐにゃになり、重度のしょうがいしゃになりました」。弁士の軽快な語りがホールに響く。
 20歳になり、施設に仕方がなく入所し、しょうがいしゃということで絹子さんからあらゆる「あたりまえ」が奪われたことがシルエットと講談の語りで表現される。
 1965年府中療育センターに移る。男性職員の入浴介助にショックを受け、抗議すると、職員から「風呂に入れてもらえるだけでもありがたいと思え」と罵声をあびせられる。入浴の同性介助を求めて絹子さんの1年に渡る入浴拒否闘争が始まった。
 同センターの郊外への移転に反対して都庁前に座り込んだことなど数々の闘いが再現される。そんな中で、夫となる三井俊明さん(71)と出会い、結婚。地域で暮らしたいと施設を出て国立市へ。その後妊娠、出産、育児を経験した。
 「劇の内容は全て事実」と指で文字板の文字を指して絹子さんは伝える。観客は、絹子さんの半生を擬似「体験」し、人権を保障するとはどういうことか共に学ぶことになる。
 途中、市内の小学生が中心のユニットLOCK☆SHOWのダンスパフォーマンスなどもあり「絹さんの半生を1時間半にまとめるのは至難の業です」と、かたつむりのメンバーで舞台演出を手がける小林寿江さん。

公(おおやけ)が人権を保障する

たくさんの人に見に来てほしい、と笑顔の三井絹子さん

 約40年前、しょうがいしゃが地域で暮らし、子どもを産み育てることは、福祉行政では想定外だった。そこで国立市の市民が育児ボランティアとしてシフトを組み、地域で支えた。「その人の日常を守ることが、人権を保障することになる」と、当時のボランティアの1人だった山家利子さん(76)は言う。
 しょうがいしゃがあたりまえに生きようとすると、その都度バリアーがあり、人として保障されるべき当然の権利が奪われていく。その奪われたものを奪い返してきた絹子さんの人生は、絹子さんが人権を獲得し、地域社会にはたらきかけてきた歴史でもある。

人権・平和のまちづくりへ

 国立市では今年4月「国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例」を施行、全国初の差別禁止と人権救済を明記した条例として注目されている。
 「人権・平和のまちづくりに、また国立市の歴史においても絹子さんは欠かせない存在」と、永見理夫(かずお)国立市長。絹子さんは、人権・平和のまちづくり審議会の当事者委員として活躍している。当日は永見市長も登壇、絹子さんと対談の予定だ。

■体験劇「絹子ものがたり」 12月11日(水)18時~20時半(17時半開場)、くにたち市民芸術小ホール(矢川駅10分、または国立駅南口からバス「市民芸術小ホール、総合体育館前」下車)。270人(当日先着順)。無料。電話番号042-576-2111 国立市市長室平和・人権・ダイバーシティ推進係

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