大正・昭和を刻む 元料理旅館と現代アート 河鹿園で13人の作品展 青梅市

「駅出るや河鹿聞こゆる橋見ゆる」と、川合玉堂翁直筆の句を添えた看板通り、青梅線御嶽駅近くに建つ元料理旅館「河鹿園(かじかえん)」で、2回目を迎えた「2019アートフォーラムin河鹿園」が開催されている。屋久杉を使った欄間や欅の一枚板を使った格(ごう)天井の純和室で、美術家・原田丕さんを総監督に西多摩のアーティスト13人の作品展を、前期(8月12日まで)と後期(8月15日~9月1日)に分けて開催。現代アートと和の室礼(しつらい)とのコラボ効果を楽しんでみませんか。

美術館として再出発

松嵜日奈子「かわりゆく流れ」羊毛フェルト、絹糸

 御岳渓谷の絶景を眼下に、見上げれば対岸の玉堂美術館と御岳山を望める河鹿園。現在の園主、宇佐美昭さん(71)によると、大正の末に創業した料理旅館を、宇佐美さんの祖父母が昭和23(1948)年に譲り受け、一時社員寮だった河鹿園を復興した。
 「もの心ついた頃は、二俣尾と氷川の石灰関連業、奥多摩ダム建設再開などの工事関係者と関連役所などの会食、宴会で、連日フル回転。高度経済成長で一般客も増えましたが、跡を継ぐ人がいないので……」と、一昨年3月に河鹿園は料理旅館営業をやめた。
 しかし、大正から昭和初期の和風建築技術や資材の粋を凝らした建物や調度、各室の床の間を飾ってきた掛軸や書画を埋もれさせるには忍びないと、「旅館建物室礼美術館 河鹿園」として、同年4月再スタートをした。

風や光が作品に存在感を与える

深代満久「布に水」楠

小野優子「潮騒」楠

高野幸雄「Orange candy bonnet」キノコのベニカノアシタケがモデル。流木、樹脂、銅線、LED、電池、スイッチ

 昨年のフォーラムに参加し、今回は2回目になる小野優子さん(35)は、「光が通り、風が抜け、内と外が深く呼吸し、室内が自然と地続きに感じられる」と言う。
 畳に置かれた深代久満さんの「布に水」は長い円錐形の頭がちょと曲がっている木彫だ。布が水を含んだ時の動きを表現したのか。見ていたら作品が動いているように感じられてきた。白石和子さんは蛇口から落ちる水滴の大小をガラスで表現し、実際のサワラ風呂の底に設置。「本物の水滴の固まりに見える」と来館者を驚かした。

収集した書画も生きる

川合玉堂翁直筆の看板


園主の宇佐美 昭さん

 宇佐美さんは俳句や書、茶道にも励み、その一助にと川合玉堂、吉川英治をはじめ、伊藤若冲、雪村、酒井抱一、円山応挙、菱田春草、安藤広重、池大雅、足利義政、与謝蕪村、小林一茶などの書画も求めてきた。「我が家の美術品と、現代アートのコラボは毎年行いたい」と期待する。


手前を流れる多摩川の対岸から見た河鹿園


■「2019アートフォーラムin河鹿園」
 前期8月12日まで榎戸項右衛門さんら7人。後期は8月15日~9月1日、羽村市在住の原田丕さんを中心に6人が参加。11時~17時(入館は16時半まで)。月・火曜休み。入館料300円(夏休み特別料金)。電話番号0428-78-8218同美術館。

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