世界無形文化遺産の素晴らしさを ジャワ更紗 いま・むかし たびうさぎコレクション展 -3月26日~29日 三鷹市でー

 南国情緒豊かなジャワ更紗の伝統文化に触れてみませんか? 花や動植物、人物、舟など多彩な模様をロウケツ染めしたバティックに惹かれて約20年。かつて港区西麻布に「たびうさぎ」という専門店を開いていた春日曠(ひろし)さん(74=立川市)は、仕入れに通う旅先で、ジャワ更紗の古布の味わいにはまってしまった。それらのコレクション展を3月26日(木)~29日(日)、三鷹市芸術文化センターで初公開する。

模様と工程にとりつかれて

インドネシアの伝統的花鳥模様のサロン(腰巻き)を手にバティックの魅力を語る春日さん夫妻

 「鳥獣や魚、船などが絵画的に描かれて、面白い布だなぁ」と、ジャワ更紗の店舗を覗いて歩いていたという春日さん。当時、四谷駅前でバーを営んでおり、気分転換でインドネシアやラオス、カンボジアを旅した。ジャワ更紗の工房では、女性たちが下絵に沿って広い面は筆で、細い線はチャンティンという柄杓に似た道具のノズルから、熱した蝋をたらして防染。藍などの染液に浸け、蝋を剥がす工程を、染める色ごとに繰り返す作業を黙々と続けていた。その丹念な手仕事から生まれるジャワ更紗に、春日さんはとりつかれてしまった。
 1年後の2001年10月には「たびうさぎ」を開店。陶芸家の妻さなえさんが、陶芸作品を展示する店舗を探していた時、西麻布テレ朝通りに空き店舗をみつけた。たまたま、さなえさんが路上で小さなウサギを拾ったので、店名は「たびうさぎ」とした。

破天荒な転職も前向きに

 同店ではインドネシア、ラオス、カンボジアの絹布と綿布の販売、それらの布で縫製したドレスやチュニック、ブラウスの販売とオーダー、着物や帯、額、掛け軸への仕立て、さなえさんの工房の陶芸作品なども販売。幸い顧客に恵まれ、経営は順調だったが、2006年6月、曠さんが心筋梗塞で倒れ、やむなく店舗を立川市砂川町八丁目の自宅に移転。縮小せざるを得なくなった。
 「50歳で都市計画関係の研究職からバーのマスターに転職、55歳で「たびうさぎ」開店と、二転三転の人生ですが、自宅工房では陶芸作品の展示即売、アジア布の縫製オーダーも細々ながら続けて」と、春日夫妻は前向きだ。
 しかし、仕入れの旅先で求めたジャワ更紗古布の味わいを、自分たちだけで楽しむのはもったいない。地域や工房によって色合いや模様も違い、2009年にユネスコ無形文化遺産に指定された伝統技術のいま・むかしを伝えたいと、「たびうさぎコレクション展」を開催する運びに。

20世紀前期から現代まで

近代的な軍隊や汽船などオランダ占領時代の光景が描かれ、カインカンパニーと称されるサロン(腰巻き)=20世紀前期作、105×170㌢

 展示されるのは、現在も活躍中の作家・工房の比較的新しい作品、20世紀前・中期の古布、屏風やタペストリーなどの加工品含めて66点を予定。
 ジャワ島北部チレボンの有名工房マシナで、下絵職人として働いた後、1974年に独立、バティックのオピニオンリーダーとして活躍中のカトゥラ氏の大判バティック、近代的な軍隊や汽船など、オランダ占領時代の光景が描かれカインカンパニーと称されるサロン(腰巻き)、19世紀のインドのサリーや同じチレボンで手描きバティック工房「スタジオ・バチェ」を主宰している賀集(かしゅう)由美子さんの大判バティック、チレボンの有名工房マシナの先代と現在の当主のサロン他。布好き、染色に興味のある人にはまたとない展示会だろう。
 ▽同展は三鷹市芸術文化センター第3展示室で、3月26日(木)~3月29日(日)10~19時(最終日17時まで)、入場無料。会場へは三鷹駅南口②番バス乗り場から、八幡前・芸術文化センター下車。問合せ電話番号090-6539-7735たびうさぎ春日さん

■バティック インドネシア語で、蝋(ろう)で人物・鳥獣・花卉(かき)などの模様を防染して染色するロウケツ染めの綿布と絹布。ジャワ更紗に代表されるが、インドに始まり、17世紀にジャワに伝わり、王侯、貴族が着用。オランダ更紗などにも影響を与えた。

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