喜ばれることが生きがい ミニ四駆の聖地「えのもとサーキット」 榎本昭二さん・八王子市

手のひらサイズのマシンで、時速40~50㌔ものスピードで疾走するミニ四駆。プラモデルながら、小学生から中高年まで夢中にさせ、全日本公式レースもある。八王子市高尾町にある専門店「えのもとサーキット」は“ミニ四駆の聖地”と呼ばれ、海外からも愛好者が訪れる人気ショップだ。店主の榎本昭二さん(71)は、開店以来24年、年中無休で店頭に立ち、喜ばれることを生きがいにしている。

1500種もの品揃え オリジナル開発も次々

店先で、月2回行われる 「えのもと杯」

店先で、月2回行われる「えのもと杯」

 JR高尾駅北口から徒歩5分、「えのもとサーキット」は甲州街道沿いにある。間口2間ほどの店舗ながら、奥にはミニ四駆のコースもある。壁面にはミニ四駆開発メーカーの製品だけでなく、榎本さんが考案したオリジナルキットやパーツ、工具など1500種類以上。製造中止になったマシンの在庫やレアキットも多い。「非売品」と張り紙された棚には、公式レースで優勝したマシンや海外モデルなどがすし詰めだ。

あらゆるパーツが揃う店内

あらゆるパーツが揃う店内

模型業界大手『タミヤ』直営店より、品揃えが豊富で感動した」と語る吉田圭汰さんは、中学時代、福島から通ったこともある。八王子市内の大学入学当初から、同店で土日アルバイトを。その経験が専攻の工学デザインにも生かされ、今年3月卒業後、模型業界への就職も決まっている。

小学生も父親世代もライバルで友だち

本日出場したミニ四駆

本日出場したミニ四駆

 この日は、店舗前で92回目の耐久レースが行われていた。1周70㍍、3レーンのコースで9台がエントリー。疾走するマシンを見守る視線は真冬日でも熱い。 この日は静岡・掛川市での公式レースとかち合ったため、常連の少年は小6の後町(ごちょう)大吉くんだけだったが、父親世代の出場者とライバルであり、友だちだ。


マシーンの最後の調整をする参加者たち

マシーンの最後の調整をする参加者たち

 同市恩方から参加した桑原和久(40)さんは、長男が小学4年の時に付き添って、ミニ四駆にハマってしまった。 「息子は中学1年で“卒業”して、親爺が取り残された」と苦笑しながら、大吉くんのマシン調整を手伝っていた「最近は小中学時代に熱中した常連が30~40代になって、再び熱くなる人が多い」と、榎本さん。

50歳で再スタート 古希を越えて青春

休日返上でミニ四駆ファンを迎える 榎本昭二さん

休日返上でミニ四駆ファンを迎える榎本昭二さん

 榎本さん自身は中学時代からラジコンボートに熱中、芦ノ湖や河口湖へ通った。全日本選手権で5年間破られない記録を保持していた。電電公社の工事部に就職して光ファイバーの開発に関わったが、ラジコン好きが高じて、33歳の時、高尾駅前に「えのもと玩具店」を開店した。1986年、ミニ四駆が発売され、ブームに乗って店舗は手狭に。50歳で二足のわらじを脱いで、現在地でミニ四駆専門店として再スタートを切った。 
 ミニ四駆は小学生の小遣いで買える価格で、工夫次第で進化させることができる。考え、工夫することが面白くなる。しかし、「本人が熱中してしまうと、良いサービスが提供できなくなっちゃうから」と、榎本さんはミニ四駆では遊ばない。
 でも、夢中になる気持ちは人一倍分かる。それぞれの実現したい夢に向けて、アイデアをどんどん提供する。「喜ばれることが生きがいだ」と、榎本さんは古希を越えても青春している。
 ■2月12日(日)10時から、266回目のチャンピオン大会「えのもと杯」が開かれる。電話042-664-3249同店

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