凛とした芸風目指して 古典から地元史の自作まで -講談師 宝井一凛さん 昭島市-

 落語や漫談など話術で楽しませる伝統話芸の一つ、講談師として活躍している宝井一凛(いちりん)さん。昭島市の観光親善大使も務める一凛さんの気風のいい講談を聞いて、行く年来る年気分を盛り上げませんか。12月28日夜、昭島駅南口前のカフェバー「サニィラウンジ」で、「赤穂義士」物語の一席を予定している。

立川市で生まれ育った多摩産の講談師

「エーツ! 浅野家浪人四十七士の一人として、獅子奮迅の働きをした堀部安兵衛は…生涯に三度の仇討をした稀有な武士でして」と、赤穂義士銘々伝名作『堀部安兵衛』の一席を熱演する宝井一凛さん

「エーツ! 浅野家浪人四十七士の一人として、獅子奮迅の働きをした堀部安兵衛は…生涯に三度の仇討をした稀有な武士でして」と、赤穂義士銘々伝名作『堀部安兵衛』の一席を熱演する宝井一凛さん

 緋色の紋付きに濃紺の袴姿で登壇するなり、バシーンと張り扇で釈台を叩き、「えー、夏はお化け、冬は義士で講談師は稼がせてもらっている……」と、一凛さんは笑いを誘いながら、本題の義士伝に。その声は時に男っぽく緩急自在。登場人物の声を使い分けながら、ひと味違った「赤穂義士」を聞かせる。昭島市に住んで10年余、小3男児のママさん講談師だ。
 祖父は八王子、祖母は日本橋生まれで、喫茶店を営んでいた父の代から立川へ。一凛さんによると「私の学生時代は、立川駅南口はまだ区画整理前で、路地が入り組んで、コーヒー一杯60円の時代でした」。多摩の土地っ子、多摩産である。
 八王子市の「千人同心」、江戸後期に郷地村(現昭島市)で創作された絵読本「月廼野露草雙紙」(つきののつゆくさそうし)など、郷土史を題材にした自作講談も好評だ。

田辺一鶴門下生に学ぶは真似ぶで話芸を

02_P132_01_15 一凛さんは元ライターで、雑誌に音楽関係の記事を書いたり、ラジオ番組の構成作家をしたりしていたが、新曲アルバムの紹介記事を書いても、雑誌で紹介されるのは1~2カ月後。旬が過ぎている。そのジレンマにもやもやしていた頃、故田辺一鶴さんの講談を聞いて痺れた。
 “ひげの一鶴”と呼ばれ、髭ぼうぼうの顔で修羅場を講じたら、鳩尾(みぞおち)が痛くなるほど迫力があった。浪曲は泣き、落語は笑い、講談は怒りの話芸と言われ、鬱憤や正義感を伝える話芸にスカーッとした。
 一鶴さんは奇人だったが、若手を育てることに熱心で、講談入門教室を開いており、一凛さんは弟子入りした。一鶴さんは古典軍記で、講談の発声法を教えてくれたぐらいで、「俺が教えたら、俺の色になっちまう」と、自分の色を身につけるよう仕向けられた。「これからは講談も女性の時代だ。新作をやれやれ」と、ハッパをかけられた。
 “学ぶは真似ぶ”で、カバン持ちから先輩たちの着替え、諸々の雑用をこなしながら、自分の色を求め、入門から1年、平成12年に前座に。亭号は一鶴師匠の「一」と、凛とした芸風を目指して「田辺一凛」にした。17年に二つ目昇進したが、5年後に一鶴師匠が他界したため、宝井琴梅門下に移籍。宝井一凛に改め、平成25年10月真打昇進を果たした。

着物一式、釈台を提げ全国津々浦々へ

02_P132_01_26 「堀部安兵衛」「いれずみ奉行」「大岡政談」「宮本武蔵」など武芸物から人情・世話物まで、古典も得意とするが、オリジナル新作「一凛版ドン・キホーテ」「岡本太郎物語」も聴かせる講談だ。
 講談は落語や浪曲のように、専用の寄席があるわけではない。着物一式と折り畳み式釈台を下げて、全国津々浦々、居酒屋やカフェバーなどでも講談を。「歴史に興味があるから、地方から呼ばれるのも楽しい」と、一凛さん。「自宅で練習中、息子が何事かと飛びだしてきたことも」と、母親の顔を。

宝井一凛講談予定

○昭島駅前演芸会月イチりん 12月28日19時開場、20時開演、昭島センタービル2階(昭島駅南口前。花屋)カフェーバー・サニィラウンジ。木戸銭1000円、他にオーダー1品以上を。毎月第4木曜の同時刻に開催。電話番号042-519-6858
○宝井一凛&神田あおい腕試し講談 2018年1月13日14時開場、14時半開演、四ツ谷地域センター(地下鉄丸の内線新宿御苑前駅徒歩5分。前売2000円、当日2500円。電話番号090-9137-8083宝井一凛
○たからいいちりん講談会 2018年2月10日13時30分開場、14時開演。ホールkoenjiHACO(高円寺駅北口徒歩2分。ゲストのダイヤ・ピアノ・サンタのピアノ演芸&宝井一凛講談。木戸銭2000円(1ドリンク付き)電話番号090-4249-0852同ホール。

Comments are closed.