あたりまえに、地域で暮らしたい 笑いあり、涙あり、しょうがいしゃたちの自立までの道のり -12月17日 国立市で上演-

 12月3日から9日までの「障害者週間」に合わせ、施設から出て地域で暮らす「自立しょうがいしゃ」の物語を舞台で伝える企画が、12月17日夕方、くにたち福祉会館で行われる。今年市制50周年を迎えた国立市は、2005年4月「しょうがいしゃがあたりまえに暮らすまち」を宣言し、16年には条例化した。

はあちゃんが体験してきたことを劇で表現

元気いっぱい!本番に強いはあちゃんは、いつも公演当日に最高のパフォーマンスを披露してくれる

元気いっぱい!本番に強いはあちゃんは、いつも公演当日に最高のパフォーマンスを披露してくれる

 「井上晴菜です。26歳です」。かわいい衣装をつけた女の子が、元気良く舞台中央に飛び出して来て、明るく自己紹介する。体験劇「はるながまちにやってきた」(通称「はるまち」)の始まりだ。
 ライフステーション ワンステップかたつむり(国立市)の仲間たちから「はあちゃん」の愛称で親しまれている井上晴菜さんは、重度の知的しょうがいしゃだ。でも、自分の意思をしっかり持っていて、小学校5年生の時、行きたくないと強く思った養護学校を自主退学、かたつむりに通い始めるようになった。今、かたつむりの仲間たちに助けられながら、地域で自立して生活している。いろいろな困難を乗り越えて、はあちゃんは夢を実現させた。
 「はるまち」は、そんなはあちゃんの体験を通して、しょうがいしゃが置かれている現状を、観客が“体験”する音楽劇だ。

人気の「はるまち」は全国各地で公演

かたつむりの仲間たち、みんなで絹子さんを囲んでキメポーズ

かたつむりの仲間たち、みんなで絹子さんを囲んでキメポーズ

 「先日は名古屋に行きました」と脚本・演出担当の小林寿江(すみえ)さん。「はるまち」の公演は、地方から呼ばれることが多い。要請があればかたつむりの仲間、しょうがいしゃとその介助者総勢25人を超えるメンバー全員で出向く。
 初演は2011年。その後、全国各地で公演。人気のワケは「毎回、その地域や主催者の要素を劇に取り入れることかもしれません」と。名古屋公演の写真を見ると、なるほど、出演者が“金のしゃちほこ”に扮している。はあちゃんの髪飾りも“金のしゃちほこ”だ。
 稽古を見学した。かたつむりの代表、三井絹子さん夫妻の一人娘で元宝塚歌劇団の美樹さんが、「笑顔で!」と本格的な歌唱指導をしていた。「みんな感受性が強いから、上演中に仲間の合唱やソロに聞きほれてしまうことがあり、それが課題です」と小林さん。

地域で生きられることを伝えたい

歌唱練習はかなり本格的。美樹さんの指導でみるみる上達していく

歌唱練習はかなり本格的。美樹さんの指導でみるみる上達していく

 かたつむりの代表、三井絹子さんも重度の身体障害者だ。20歳の時に家族から引き離され、施設に入れられ、髪型の自由もゆっくり食事をする自由も奪われ、トイレに行く時間さえ決められていた施設の非人間的な扱いに我慢ができなかった。30歳の時に「私は人形じゃない」と施設を飛び出して、地域での生活を始めた。同時にくにたちかたつむりの会を発足、しょうがいしゃが地域で暮らすための生活と運動の拠点にした。それから42年たった今、ライフステーション ワンステップかたつむりとなって引き継がれ、地域に根ざした活動を続けている。
 結婚、出産、育児と、地域の仲間たちと共に歩んできた絹子さんは今年72歳。今では孫も1人いる。
 「自分にはできないと思い込んでいるしょうがいしゃに、どんなことでもできるんだよ、地域で生きていけるんだよ、と伝えたい」。そんな絹子さんの思い、しょうがいしゃの闘いの歴史も「はるまち」では表現されている。

「はるなが国立市市制50周年記念にやってきた」

 12月17日18時半、くにたち福祉会館4階大ホール(谷保駅10分)。要約筆記、手話通訳あり。無料。公演依頼受付。公演料は応相談。問い合わせ先電話番号042-577-1891ライフステーション ワンステップかたつむり

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