それでも前を向いて生きている強さ 映画 「袴田巌 夢の間の世の中」多摩地域巡回上映ツアー

 1966年静岡県で起きた一家4人殺害事件の冤罪死刑囚・袴田巌さん(80)のドキュメンタリー映画「夢の間の世の中」が、多摩地域で巡回上映される。監督の金聖雄(キム・ソンウン)さん(53・武蔵野市)は「理不尽な経験をしているのに、強く優しく生きている。そんな輝いている人たちとの出会いを映し出したかった」。

ボディブローのような映画

笑顔をたやさない秀子さんの明るさにつられ、袴田さんも思わず顔がほころぶ

笑顔をたやさない秀子さんの明るさにつられ、袴田さんも思わず顔がほころぶ

 「見終わった後からジワジワ効いてくる“ボディブローのような映画”を目指しました」と金監督。
 袴田さんは、元プロボクサー。ボクサーならやりかねないという偏見により逮捕された。一貫して無実を訴え続けたが、1980年に死刑が確定。再審を請求し続け、2014年にやっと再審開始が決定された。袴田さんは48年ぶりに釈放され、今は姉の秀子さん(83)と浜松市で暮らしている。
 冤罪死刑囚として独房で過ごし、死の恐怖から逃れようと“妄想の世界”を創り出した袴田さん。抽象的なイメージ映像に過去の獄中書簡や日記が挿入されたシーンと、秀子さんや袴田さんを見守る人々との日常生活という“現実の世界”のシーンが交互にスクリーンに現れる。まるで袴田さんの心象風景のようだ。
 「秀子さんは48年間『殺人犯の死刑囚』の家族として世間に晒されて、袴田さんとはまた違う意味ですごくしんどかったと思う。でも何事も笑いとばしてしまう、前を向いて生きている、その強さはなんだろう?」金監督の他の作品にも共通するテーマだ。

映画を通して地域と繋がりたい

2014年5月から1年余、袴田さんに寄り添い撮影した金監督。撮影時間は200時間に及ぶ

2014年5月から1年余、袴田さんに寄り添い撮影した金監督。撮影時間は200時間に及ぶ

 「映画を通していろいろな意見の人たちが出会い、当たり前の日常の大切さや、それが理不尽に奪われる現実など、共に考える場を提供したい。そして映画製作側の自分たちも繋がって、地域での繋がりを積み重ねていけたら…」と金監督は語る。
 本作品は今年、全国各地の映画館で上映されたが、見逃してしまったという声が多く、上映ツアーを企画した。「通常の自主上映と違い、今回は一度見逃しても別の日に見られるよう、チケットも9会場共通券にしました」とプロデューサーの陣内直行さん(67)。

 ■9月17日14時、武蔵野スイングホール。9月24日19時、小金井宮地楽器ホール。9月25日14時、清瀬市生涯学習センター。9月30日19時、パルテノン多摩。10月15日19時、立川市女性総合センター・アイム。10月29日19時、八王子市生涯学習センター。11月11日14時、調布市文化会館たづくり。11月12日19時、保谷こもれびホール。11月19日19時、小平市福祉会館。全会場で金監督の舞台挨拶、9月24日、25日は秀子さんも登壇予定。
 ■「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」上映会も10月14日18時半、くにたち市民芸術小ホールで。石川一雄さん、早智子さん夫妻と金監督のトークも。
 ■入場料=共通前売券1300円(5枚以上1枚1000円)。当日一般1500円、学生・障害者1000円、高校生以下500円。電話番号042-316-5567キムーンフィルム
 ★抽選で5組10人に共通前売券をプレゼント。3面参照。

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