“家具のまち八王子”目指して 八王子現代家具工芸学校 講師 伊藤洋平さん

 桑の都、織物の町として発展してきた八王子市だが、地場産の杉を使った家具、工芸品も伝統産業にと、「家具のまち八王子」プロジェクトを立ち上げた伊藤洋平さん(42)。「八王子現代家具工芸学校」講師を務め、英国仕込みの技術と創意工夫で、杉材の木目と軽さを活かした家具やクラフトなどの制作と指導を。一日教室やワークショップも展開している。2月19日から同工芸学校展が隣接する家具店で開催される。

家具職人目指して英国留学

「教えることで学ぶことも多い」と言いながら、椅子の組み立てをアドバイスする伊藤さん

「教えることで学ぶことも多い」と言いながら、椅子の組み立てをアドバイスする伊藤さん

 「八王子現代家具工芸学校」は、八王子駅北口から送迎バスで約20分。家具インテリア大型専門店「村内ファニチャーアクセス」敷地内にある。
 レンガ色の壁と緑青色の屋根のL字型校舎約150平方㍍内には、自動送りカンナ機やプレス機などが備えられた大型機械室と組立をする作業室、図書や材料コーナーもある。「目の前には、国内外を代表する家具が展示されている店舗、村内美術館も隣接している恵まれた環境でしょう」と、伊藤さん。
 世田谷区出身。高校時代、近くの家具職人の手仕事に惚れ、弟子入りしたかったが、親方に早逝されて落ち込む伊藤さんに、大学進学を薦めていた父母から「イギリスには家具職人の大学があるらしい」と、助け舟が。ネットのない時代で、英語もしゃべれなかったが、オックスフォード州のカレッジへ。
 10~15人にそれぞれ作業台が与えられ、工具の使い方や製図など基礎をみっちり2年、その後2年は、「自己表現が大事だ」と、創作家具のデザインや制作を叩き込まれた。さらにウェールズ州の大学で2年、技術を磨いて2002年に帰国した。

家具で八王子を盛り上げよう

伊藤洋平さん

伊藤洋平さん

 実家近くに工房を設ける一方、マンションの家具設置をする工務店でアルバイトをしていた伊藤さんは、日本工学院八王子専門学校で家具デザイン・制作の非常勤講師の職を得て八王子市へ。
 「針葉樹林の多い八王子市の特性や家具造りを教える楽しさも知った」と言う。
 「村内ファニチャーアクセス」副社長の村内弘道さんと顔を合わせる機会があり、家具造りへの熱い思いを語ったところ、「わが社も木材・木工業から始まった。家具で八王子を盛り上げよう」と、賛同。伊藤さんは「家具のまち八王子」プロジェクトを立ち上げる一方、村内さんの支援で学校設立にこぎつけた。

杉材で家具や工芸品を

杉材の幼児用椅子

杉材の幼児用椅子

 2010年開校した「八王子現代家具工芸学校」では、家具デザイナーや木工家を目指すコースと、家具木工を趣味として楽しむコースがあり、どちらもマンツーマンに近い教室だ。18歳~60代が学んでおり、これまでの受講生は延べ80人に。
 杉は主に建材として用いられるが、伊藤さんによると、家具材としても、西洋寄木細工とラミネート加工(複数の材料を貼り合わせて積層させる加工)で、軽く斬新なデザインの家具が生まれる。

杉材の椅子

杉材の椅子

 伊藤さんが見せてくれた椅子は、木目が真っ直ぐな杉材の座面に、緩やかに反った背もたれが美しい。カーブの美しい座椅子は、持ち運びがラクで手触りも優しい。様々な色や木目の材を貼り合わせた西洋寄木細工を施した家具工芸品も、日本の寄木細工とは違ったデザインや味わいが楽しい。
 林業の衰退や花粉症で、杉に対する評判がよくない昨今だが、伊藤さんは家具や工芸品に加工することで、イメージアップになり、林業の活性化に役立って欲しいと、目を輝かせた。

■八王子現代家具工芸学校展

2月19日(月)~28日(水)10時半~17時、村内ファニチャーアクセス北館3Fサロン樫の木。
 3月21日春分の日、「高尾599ミュージアム」でワークショップも予定
 ▽金曜、日曜を除いて10時半~17時半、一日体験教室も(申し込み制)電話番号090-4243-0506伊藤さんへ。

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