下仁田ネギの一生を描く 英国植物画展・最優秀賞受賞記念 群馬直美さん絵画展 立川で1月28日まで

 植物の葉や野菜を原寸大で克明に描く「葉(よう)画家」群馬直美さん(立川市)の「下仁田ネギの一生」6点連作のテンペラ画が、昨年夏に英国王立園芸協会が主催する「ボタニカルアート&フォトグラフィー展」で最優秀賞を受賞した。多摩では初の受賞記念展が1月28日まで国営昭和記念公園花みどり文化センターで開催されている。

高いクオリティと正確さ

「12月 収穫時の旬のネギ」756×561㍉=下仁田町馬山の大澤貴則さんの畑にて 
ネギの絵は連作「下仁田ネギの一生」より

 同展はエリザベス女王を総裁に迎え、200年の歴史を誇る園芸協会が主催する世界で最も権威のある植物画展の一つ。受賞作は着眼点と高いクオリティと正確さが評価され、審査員が満場一致で、画期的と称賛。「虫が食い、土がついている植物そのままを描いているのでどう評価されるか挑戦でした」と群馬さん。
 群馬さんは東京造形大学絵画科在学中に新緑の美しさ、葉っぱの生命力に励まされた経験から、葉っぱを描き始めた。1991年より、一般的な絵の具より繊細に描けるテンペラ絵の具(粉末の顔料に卵を混ぜて練ったもの)を使用するようになった。「人が一人ひとり違うように葉っぱにも個性がある。そこを大事に描いてきた。今度の受賞はそういった私の考えが認められたと思えるので特別にうれしい」。
 受賞した6点の作品のサイズは全て実寸。テンペラ画は点と線で描いていくので中には一枚を仕上げるのに9カ月かかったものもあった。
 1枚目の絵は苗床ネギ(2月)と仮植え(4月)、植え替え(7月)の3段階の成長過程を表現。「葉っぱを次々と脱ぎ捨てるようにしてネギは大きくなっていきます。収穫までに登場する葉の数は25枚も」。
 2枚目は収穫(12月)。3枚目は枯れ葉ネギ(2月。一皮むくと中身は純白の瑞々しさ。生食では辛いけど、火を通すと、極上の甘さと柔らかさに感激する)。4枚目は花の始まり(3月)。5枚目は花(4月)を。6枚目は種とり。
 「下仁田ネギは10月の種まきから収穫まで15カ月もかかります。そんな農家さんの情熱と、下仁田ネギの輝く生命力を感じてほしい」。

自分のルーツを探る

昨年7月23日レイトショー。審査発表前日の夜に、一般公開された展示会場風景。多くの人たちがネギの絵の前で足を止めた

 群馬さんは群馬県高崎市出身。5年ほど前に、県職員から、下仁田ネギには250年の歴史があり、今でも原種が守られ、伝統農法で栽培されている地区があると聞いた。「祖父が高崎市で八百屋をしていたこともあり、10年ほど前から野菜も描いていたので、自分のルーツを知る意味でも描きたいと思った」。
 下仁田町馬山(まやま)地区で伝統農法を受け継ぎ11代目になる大澤貴則さんの畑に10カ月の間に5回足を運び、ネギの成長過程を描いた。

ビオトープ園の葉っぱたちの絵画も

作者の群馬直美さん。バックの絵は「6月 種取り用のネギ坊主」1025×560㍉=国営昭和記念公園の会場にて
ネギの絵は連作「下仁田ネギの一生」より

 今回の展示のタイトルは「下仁田ネギの一生と、ビオトープ園の葉っぱたち」。下仁田ネギの絵6点と前橋市にある株式会社ヤマト本社に併設されるビオトープ園の植物27点も展示。1点1点に寄せられた群馬さんのエッセイも面白い。
 「下仁田ネギの一生」のうちの1点が英国王立園芸協会に購入される事が決まり、今回の6点全作揃っての展示は国内最後になるという。

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