多言語を楽しむ人たちの アフリカ体験記 『愛しのカメルーン×トーゴ』発刊

 今年度から小中学校の英語教育が変わる。小学3年から始まり、5年生から必修になる。賛否両論はあろうが、中高で6年間、英語を学んでも話せない、ヒヤリングもダメという一人として、多言語活動を楽しむ仲間16人のホームステイ体験記『愛しのカメルーン×トーゴ』は、サプライズの連続だ。多摩市に住む体験者で筆者の一人、中川紀子さんに本書と多言語交流活動を語ってもらった。

250もの言語が使われているカメルーン

ホストファミリーから贈られた部族の刺繍を施した正装着を着て、教会の前で記念撮影を。前列中央が中川さん(ブルーの衣服姿の左側)=カメルーン

 「カメルーン共和国では公用語は仏語と英語ですが、250もの多様な言語が使われ、トーゴ共和国では40の言語が使われている」と話す中川さん。夫婦間でも部族が違えば30%くらいしか伝わらないこともあると言う。
 そんな多言語国へ、中川さんら多言語体験活動をしている「ヒッポファミリークラブ」の仲間16人(19~73歳)が、2017年11月22日~12月6日、両国でホームステイをしてきた。
 10人は両国を訪ね、6人はトーゴだけだったが、両グループが結集して、トーゴの首都パリメでジャパンフェスティバルを開催。日本から持参した着物を現地女性に着付け、着物ショウを開催してきた。

 500人もの参加者と言葉は通じ難くても、相手の口にした言葉を繰り返す。様々な言語でも、互いにリピートすることでコミュニケーションができ、多言語国では言葉の壁はあまり感じられなかったそうだ。
 しかし、ステイ先まで100人も詰め込んだバスで4時間。ステイ先の家庭では毎晩停電になり、シャワーは水しか出ない。蚊やゴキブリにも悩まされたり。そんな体験記がリアルに綴られている同書。絵の得意なメンバーのイラストはほのぼの。体験者ならではの情報が満載されて楽しい。

留学生とホストの交流から“カメトゴ”ツアー実現

多言語活動を楽しむ仲間16人のホームステイ体験記『愛しのカメルーン×トーゴ』を紹介する中川さん

 両国へのホームステイツアーは、カメルーンからの一留学生とホストファミリーの交流から始まった。その留学生メンジさんは2011年から5年間の滞在中、地質学と水質研究でドクターの資格を取得。帰国後、生まれた長男にハルシとホスト小出治史さんの名前をつけた。「孫のようなハルシ君に会いたい」。小出さんの声で、ツアー企画はスタートした。
 一方、同クラブの大学生メンバー辻旺一郎さんは、誰もやっていないことをと、2015年にトーゴへ行き8カ月滞在した。その滞在記『これがトーゴだ』を出版して好評を得た。誰ひとり知り合いのない国。しかし、町を歩けば誰かが笑顔で話しかけてくれたトーゴへ、辻青年は2017年8月から4カ月再訪するという。彼の滞在中にトーゴへと、“カメトコ交流”プログラムが組まれた。

赤ちゃんが言葉を身につける環境づくり目指して

 『愛しのカメルーン×トーゴ』 遊行(ゆぎょう)社(新宿区)刊、B5判288頁、2350円+税。電話番号03-5361-3255遊行社モルゲン編集部。

 中川さんによると、多言語活動の提案者・故榊原陽(よう)さんは、長年の研究から、赤ちゃんが繰り返し聞くことによって、言葉を身につけていくような環境づくりを目指して、1981年に言語交流研究所ヒッポファミリークラブを設立。
 中川さん自身も大学の英文科を卒業したが、しゃべれないコンプレックスのかたまりだったという。双子の男児が3歳の頃、英語に触れる機会をと、英語ラボに参加したのがきっかけで、ヒッポ設立当初から多言語交流活動に参加。フェローと称する研究員として聖蹟桜ヶ丘と府中駅前で、活動の場・ヒッポファミリークラブを主宰している。
 活動の場ではCDかSDカードを使って、当初は英独仏、スペイン、韓国、中国、日本語の7カ国語のメドレーを耳に、まねっこしながら参加者と交流を。「自然と口に出るようになって楽しい」と。
 現在、ヒッポファミリークラブは全国に700カ所、約2万人が参加している。

 『愛しのカメルーン×トーゴ』 遊行(ゆぎょう)社(新宿区)刊、B5判288頁、2350円+税。電話番号03-5361-3255遊行社モルゲン編集部。

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