復興への思いをつなげて ちくちくきもの5×5NEXT 2年で770枚

体育館に並べて布を検証中のボランティアスタッフ(みらいパーク)

体育館に並べて布を検証中のボランティアスタッフ(みらいパーク)

 3年前の3・11の巨大津波で被災した着物の端切れを材料に、50×50㌢の正方形の布を作る立川発のプロジェクトがある。その数が2年で770枚に達した。8月19日、福島の高校生を招いて港区で開くコンサートまでに1000枚達成を目指している。

3歳から94歳が参加

杉並区の女性は、ノアの箱舟から放たれた鳩がオリーブをくわえて戻り洪水の終わりを告げたイメージを布に込め作成

杉並区の女性は、ノアの箱舟から放たれた鳩がオリーブをくわえて戻り洪水の終わりを告げたイメージを布に込め作成

 5月27日立川市の旧多摩川小学校(現・みらいパーク)の体育館。「ちくちくきもの5×5NEXT(ゴーゴーネクスト)と名付けられた布が並べられた。数は完成しているうちの617枚。できることをできるだけプロジェクトを主宰する音楽プロデューサーのしおみえりこさん(61=立川市)が、宮城県の被災した呉服屋さんから貰い受けた着物地を何とか活かそうと始めた活動だ。その着物地を一部に使って自分の思い出のある布と併せて50×50㌢四方の作品を構成する。
 布をボンドで貼り付ける人、アップリケで縫い付ける人など手法はいろいろ。
 作品は3歳から94歳まで幅広い年齢層で、男性も多く参加している。老人ホームでは80代の男性が、渡された布に花が一輪描かれているのを見て、黒い海に浮かぶ一艘の船から花が咲くようにと、そんな絵柄をヘルパーさんに伝えた。90代の女性は紅絹の布(もみのきれ)を裏打ちした作品を送ってくれて、「私でも役にたてたかしら」と嬉しそうに話してくれた。
 「ちくちく針仕事」は世界共通。しおみさんは仕事で外国へ出かける際にも必ず被災した布を持って出かけ、震災の記憶を伝えるためにワークショップを現地で開いている。「いつ起きるか分からない自然災害の怖さは理解してくれます」。今までバリ島、スリランカ、トルコ、イタリアなどでワークショップを行って来た。日本では北海道から沖縄まで輪が広がっている。
 「この5×5NEXTは時間がかかっても、手を挙げてくれた人に被災した布を直接渡すか、郵送して作ってもらっています」。

被災した呉服店と出会う

しおみえりこさん

しおみえりこさん

 しおみさんは震災直後から被災地へ楽器の寄付と演奏指導の支援をしていた。その活動の中で、石巻市の創業150年の歴史を持つ「かめ七呉服店」と出会い、そこで津波に遭った着物を譲り受けたのだった。
 ヘドロで汚れた着物は、青梅市沢井の沢の水で洗い、匂いをとってほどいて、演奏者や役者等の衣装として仕立て、リース。「忘れられるのが怖い」といった被災地の人々の気持ちを舞台から観客へとつなげている。

いつか石巻の文化ホールの緞帳に

 2012年宮城県の吹奏楽の中高生が港区のサントリーホールで演奏した際、77枚の布がロビーを飾った。今年は8月19日、同じホールで「みちのくウインドオーケストラ 吹奏楽で未来を描く」で福島県相双地区の高校生たちが和太鼓の林英哲さんと共に演奏する。その時は1000枚の布で迎えたい。
 もしもこの布が将来石巻の文化ホールの緞帳(どんちょう)になったら「愛と祈りと願い」がこもった震災の記憶を、未来の子どもたちに届けられるだろうとしおみさんは考えている。

石崎幸治・写真

■ちくちくワークショップ
*裁縫セットとご自身の布をお持ち下さい。
 6月15日、16日14時~18時、ギャラリーカメレオン(青梅線西立川駅4分)
 6月26日13時~16時、アートルーム新紀元(立川駅北口3分)
 ワークショップで完成した作品は、同会場で19時開演のミュージック&アートinTAMA vol.38(サックス中村誠一、ピアノ谷川賢作、スーザホン松永敦による「HATENA」ジャズコンサート)で飾る。
■被災した着物の端切れの郵送 希望者は 2carnival@gmail.com 電話番号:090-2564-3198 しおみさんへ

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