立川新街区に開館 たましん美術館

記念展:日本近代美術コレクションが好評

 心と体、周辺環境が心地よい状態に…をコンセプトに、今春、誕生した立川新街区 GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)。その玄関口に移転オープンした多摩信用金庫本店ビル1階に、新設された「たましん美術館」で、「たまびらき」と題した、近代日本美術コレクション展が開かれている。小規模だがクォリティが高く、三密を避けて鑑賞できると好評。その後期展が8月23日まで開催中だ。

展示室は古民家をイメージ

美術館ロビーにあるスズメバチの巣を模した作品「たまりば」。巣の中に座ることもできる

美術館入り口。美しい組子が出迎えてくれる

 JR立川駅北口から徒歩8分、多摩信用金庫本店ビル1階フロアに立ちはだかる巨大オブジェは、「たまりば」を象徴。多摩の各地の土から抽出した顔料で、スズメバチの巣をデザインしており、内部の仕掛けも面白い。
 奥まった濃いブルーの壁面がたましん美術館の入り口で、青海波や麻の葉模様の組子でしつらえた内壁にも目を奪われた。古民家をイメージした展示室は約200平方メートル。学芸員の藤森梨衣さんによると「小規模ながら、美術館としての設置基準を満たしており、ゆくゆくは他の美術館から作品を借りて、企画展を開催することも可能になりました」。

日本の洋画黎明期の作品展

浅井忠「奥多摩氷川村」1877〜1887年頃、水彩・鉛筆・墨・紙、20.5×18センチ

林武「武蔵野風景」1921年、油彩・キャンバス、33.3×45.5センチ

 「たまびらき」と題した開館記念展は、多摩信用金庫とたましん地域文化財団のコレクション展で、日本の洋画黎明期を代表する画家、彫刻家の作品約50点を前期と後期に分けて展開。
 7月11日からの後期展では、浅井忠の水彩墨画「奥多摩氷川村」、石井柏亭の油彩「川沿いの町」、林武の油彩「武蔵野風景」など26点。西洋への憧れと日本人の洋画を希求した情熱が感じられる。萩原碌山(守衛)作ブロンズ「女」、高村光太郎のブロンズ「手」、中原悌二郎のブロンズ「若きカフカス人」の3点は前期に引き続き後期も展示されている。
 館内滞留者数は20人までに限定されており、距離を保ちながら鑑賞できる。

多摩地域の芸術文化の拠点に

中川一政「薔薇」1980年代、油彩・キャンバス、100.0×80.3センチ

 同美術館のそもそもは1974年、立川駅前に旧本店ビルが新築され、その9階に設けた展示室からスタート。当時、地域の信用金庫がギャラリーを設けたり、美術品の収集を何故するのか? という声もあったようだが、「ヨーロッパでは小さな田舎町にも教会と美術館があって、地域活動の場になっている」と漏らした故倉田三郎さんの一言が、関係者の背を押した。倉田さんは「春陽会」の主要メンバーで、展示室開設当初から運営委員を務めてきた多摩を代表する画家の一人だ。3年後「たましんギャラリー」と改称、多摩地域在住のアーティストたちに発表の場を提供してきた。

収蔵品5000点余

 2019年9月、閉廊するまで46年間で個展817回、グループ展140回、利用者は述べ1000人を超す。1994年までは、展示会ごとに作品を数点ずつ買い上げ、寄贈作品も含めて収蔵作品は5000点余に。開館記念展終了後、順次企画展を開催する予定。
 ▽「たまびらき」後期展は8月23日(日)まで10時〜18時(入館17時半まで)、月曜休館。月曜が祝日の場合は開館し、翌日休館。入館料一般500円、高校・大学生300円。中学生以下無料。
 問合せ電話番号042-574-1360たましん地域文化財団。
 ★抽選で観賞券を5組10人に差し上げます。3面プレゼント欄参照。

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