江戸の文化を今に伝える紙切りという「話芸」

7月・8月 府中市で講座

紙切りを海外からの留学生に教えたことも。どんなお題にも応えられるよう、伝統芸能から最新の流行モノまで、常に幅広くリサーチしている

三味線の出囃子と共に登場、観客からもらったお題に応え、軽快な語りを交えながら紙とはさみを器用に操り、数分で作品を仕上げる。そんな伝統芸能の「紙切り」芸を、数少ない現役紙切り師の桃川健さん(79=狛江市)から学べる講座が7月、8月、府中生涯学習センターで開かれる。

紙切りは機転と頓智で

インドの世界遺産タージ・マハル

イベントや祝いの席の余興で披露される紙切り芸。恵比寿様や鳳凰、海老などの縁起物や伝統的な江戸の風物詩、世界遺産や流行物のキャラクターなど「お客様の注文には何でも応えます」。と言っても、中には意地悪な要求もあるのでは。
「ありますよ、闇夜のカラスとか、透明人間とか」と笑って答える桃川さん。そんな困った「お題」が来た時こそ、腕の見せ所だ。「赤穂浪士四十七士」は、武士を1人切って「今日は大石主税さん以外の46人は、お休みです」と切り抜けた。頓智を効かせ、会話で客を楽しませる。紙切りが「話芸」と言われる所以だ。

師匠の芸に感激して弟子入り

「鬼滅の刃」のヒロイン・禰豆子

母の日

今回、府中市生涯学習センターの教養・生活実技定期講座の講師を務める桃川さんの芸は、師匠の桃川忠さん(1932―2018)の直伝。子どもの頃から紙切り工作が得意だった師匠が、独自の芸を編み出し「江戸紙切り」と名付けた。
桃川さんが師匠の芸に出会ったのは、50歳の時。建設関係の営業マンとして浅草の料亭で接待していた時だった。ファンだったので「石原裕次郎」をリクエストすると、師匠は紙を回しながらはさみで切り抜いたものは、なんと「鷹」だった。裕次郎の主演映画「鷲と鷹」からだった。紙切り芸の極意に触れ感激した桃川さんは、師匠の下に通うようになり、のち弟子入りして「桃川」の名前をもらった。結婚式など祝いの席では「紙切り」ではなく「江戸紙祝芸」という表現を使うのは、桃川さんの考案だ。

江戸の文化に浸る

自由の女神

映画「男はつらいよ」の車寅次郎

切り絵は世界各地で見られるが、切ること自体を芸にしているのは日本の紙切りだけという。しかも現役で活躍している人は「多くて20人ぐらいでしょうか」と桃川さん。「紙切りの口上で、絶滅危惧種の紙切り師です、なんてことも言ってますよ」
江戸時代に座敷芸として始まったとされる紙切りは、明治期から寄席で披露されるようになった。「江戸時代は260余年、戦争がなく平和な時代でした。だからこそ、安政の大地震の時も、平時の備えが万全で、大地震のわりに被害は少なかったそうです」と桃川さん。
「手先が不器用でも、絵が下手でも関係ありません。コロナ禍で気分も沈みがちな今、江戸文化に浸りながら、気軽に『紙切り』を楽しんでみませんか」
■江戸紙切祝芸「世相を紙切で笑って楽しむ」7月12日、26日、8月23日、30日14時〜16時、府中市生涯学習センター講堂(東府中駅から15分、または府中駅からちゅうバス「生涯学習センター」下車)。全4回、受講料3500円。定員138人。1次募集5月31日まで。2次募集は6月10日から。電話番号042-336-5700同センター

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