本と出会い、人と出会う場所

国立ダイヤ街「まちライブラリー」― 国立市 ―

「勉強できる場であり、コミュニティの憩いの場」。林さんと中村さん(撮影時だけマスクをはずしてもらいました)

2011年から始まり全国に広がっている「まちライブラリー」という試みがある。「本を通して人と出会う、まちの図書館」。提唱者の礒井純充(いそい よしみつ)さんが、自らの蔵書1500冊を大阪市内のビルの一室に備えたのが始まり。まちの図書館であり、まちの居場所として、現在全国に800カ所以上ある。そのひとつ、国立市の「まちライブラリー@くにたちダイヤ街」を訪ねた。

まちづくりを知る本を集めて

本は分類されて棚に。選びやすいような言葉を添えて

ダイヤ街の一角にある「小鳥書房」。中の階段を上って2階にまちライブラリーがある

「まちライブラリー@くにたちダイヤ街」は、富士見台団地南に隣接する国立ダイヤ街商店街の、出版社兼書店「小鳥書房」の2階。8畳間ほどの部屋の壁側に、四角い木製ボックスを重ねて本が並ぶ。カーペットに小さな卓袱(ちゃぶ)台を置き、靴をぬいでくつろげるスペースも。「リサイクルショップで買ってきた卓袱台。なかなかいいでしょう?」と、代表の林大樹(はやし ひろき)さん。
林さんは、一橋大学教員を退職してからここを始めた。20年前から学生参加のまちづくりに関わっており、富士見台団地内の物産店「とれたの」、カフェ「ここたの」など、学生と市民が協力して運営するプロジェクトを企画したメンバーの一人だ。当時から現在まで一貫して「大学の中だけでなく、地域の中で学べる学生を育てたい」という思いがある。
林さんの専門は労働問題で、「まちづくり」の専門家ではない。それだけに「学生と一緒に学ぶ」という気持ちで、資料や本を集めてきた。退職後、大学の研究室を出る際に直面した「大量の本をどう活用するか」を模索する過程で、「まちライブラリー」を知る。
大阪の「まちライブラリー」を見学。提唱者の礒井さんの「本はひとつの景色になればいい」という言葉が印象的だったと言う。本を読まなくても、ただそこにいられる自由な場所。図書館というだけでなく、学生や市民がともに居られる「まちの居場所」なら、自分がやれることなのではないかと思った。

商店街の私設図書館

靴をぬいで座れるスペースでは、くつろいで読んだり話したり

たまたま立ち寄って話した小鳥書房から「2階でやってみては」と話が進み、9月12日にオープンした。
今あるのはほとんど林さんの蔵書。「専門書というより教養書が多いから、学生も市民も読めるはず。これから少しずつ、小説など他の分野の本も増やすつもりです」。
「まちライブラリー」はどの街でも、それぞれのやり方で運営しているが、本の寄贈者がメッセージを添え、読んだ人は感想を記すということだけは共通している。それらを読むだけでも楽しい。「会員」(無料)になってもらった上での本の貸し出しも、12月4日(金)からスタートする。

イベントも企画中

大学生も運営を手伝う。「まちライブラリー」のコンセプトにひかれ声をかけてきた、津田塾大学大学院生の中村藍海(あみ)さんと、早稲田大学4年生の川端萌さんのふたりだ。彼女たちが中心となって「テーマに沿った本を参加者が持ち寄って、みんなで話す哲学カフェのようなイベント」を計画中。
学生も市民も共に学び憩えるこうした場所が、もっと増えればいいと林さんは言う。
「草の根的に生まれるこういう場所がたくさんできたら、街全体がキャンパスになる。面白い街になると思います」
■まちライブラリー@くにたちダイヤ街(国立市富士見台1-8-15)。OPEN/水・木・金・土曜、13時半〜18時。
※マスク着用。入場人数制限あり。

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