子どもの育つ力を信じて

『森のようちえん 冒険学校』を出版 中能孝則さん(日野市)

先輩の真似をして木登りに挑戦する勇太くん(長沼公園)

日野市にある社会教育機関「日野社会教育センター」(日野市多摩平3丁目)の元館長・中能孝則(なかよく・たかのり)さん(70)が同センターで40年間にわたり携わってきた野外教育の実践の歩みと次代の保護者と指導者に伝えたい活動のポイントを『森のようちえん 冒険学校』(Kフリーダム刊)にまとめた。副題は「自然体験で生きる意欲と賢さを」。

親切なおせっかいは禁物

本『森のようちえん 冒険学校』

子どもとどんぐりでコマを作る中能孝則さん(長沼公園)

本の扉を開くと、写真から真剣に遊ぶ子どもたちの顔が飛び込んでくる。木登りをする4人組、藤棚に上って長い藤の実を手に得意顔の子ども。数分で7メートルもする木に登ってしまう木登り名人、川遊び、タイヤでの雪すべり。どの写真からも遊びに夢中になっている子どもたちの笑顔がこぼれている。
中能さんが主宰する「自然学校」や「森のようちえん」の対象となるのは4歳から7歳。勇太君(4)=写真=は何でもやってみたくなる子ども。先輩が遊んでいた木登り用ロープを借りて何度も挑戦したがうまくいかない。靴を履いたままではずるずると滑ることに気が付いた。今度は靴を脱ぎ素足で挑戦。5本の指が木肌をしっかり捉え、ついにてっぺんまで上ることができた。
「だれが教えることなく本人が気付く。これが遊びの醍醐味。大切な学びだと思います」と中能さん。
大人は時として「危ない!」と言って手を貸して登らせることがある。「それは子どものやってみたいという好奇心を奪うことになる。親切なおせっかいは禁物です。もちろん危ない時もあるのでその判断が迫られる」と。
この時大人は子どもに何を体験させたいのか、どこから先が危ないのか学ばなければならないという。

子ども時代の遊びが原点

藤の実取り(平山城址公園)

中能さんは鹿児島県薩摩川内市甑島(こしきじま)出身。家は貧しかったが、豊かな自然の中で、両親は牛を飼いながら山仕事をして兄弟3人を育ててくれた。「子どもの時、山や海で夢中になって遊んだことが私の原点です」。
人と関わりながら野外の仕事をしたいと1974年に日野社会教育センターに就職。子どもたちを対象にした「自然学校」の企画を担当した。1993年より「デンマークに学ぶ高齢者福祉の旅」を企画、25年間28回実施。その中でデンマークが発祥の地といわれる「森のようちえん」を知る。同センターでも、「森のようちえん&冒険学校」を2009年から始めた。中能さんは現在NPO法人「森のようちえん全国ネットワーク連盟」監事を務める。

指導者に読んでほしい

ダイナミックな遊びを楽しむために、何回も練習して、初めてちょうせんする勇気が出てくる(新潟県南魚沼市五日町)

本は、6章だてになっていて、安全に、安全には最善の索か、野外活動を楽しむためのイロハ、そして最後にかつての参加者や保護者20人からのメッセージが掲載されている。
「野外活動の現在の指導者、これから指導者になろうという人たちに読んでいただきたい」と中能さん。
『森のようちえん冒険学校―自然体験で生きる意欲と賢さを―』kフリーダム発行、206ページ、1800円+税。連絡先FAX042-589-3626(社会教育協会)
★抽選で読者3人に差上げます。3面のプレゼント欄参照。

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