多摩産「東京牛乳」健在

影山正和さんが作る本物の牛乳 大東農場 青梅市

影山正和さんととし子さん。正和さんは猫の保護運動にも力を入れている

今年の干支(えと)は丑(うし)。東京には多摩地域の酪農家発の「東京牛乳」がある。産地指定牛乳として安全・安心、その上乳脂肪分が多く、味が濃い。「東京牛乳」の生乳を生産している多摩地域の酪農家は36軒。その中の一軒、大東農場は牛を屋外に出しっぱなしで育て、ストレスの少ない飼い方をしている。

臆病でいて好奇心旺盛

牛を外で飼う大東農場

小作駅から車で10分、青梅インターチェンジ近くに大東農場はある。農場主の影山正和さん(70)は9頭の成牛と4カ月と6カ月の仔牛を屋外でつないで飼育している。金網に囲われた農場内をよく見ると、ホルスタイン乳牛が草をはみ、座って口をもぐもぐしている。
杭やタイヤに結んだ4メートルほどの綱につながれているが、この方が窮屈な牛舎で飼われるよりはストレスが少ないという。「牛は身の回りの草を食べつくすと、自分でタイヤを引きずり、口で杭を抜いて草のあるところに移動しています」と影山さん。近づいて来たから、寄っていくと逃げてしまう。「牛は基本臆病ですね。それでいて好奇心旺盛ですね」と妻のとし子さん。

搾乳と餌やりは牛舎で

夕方食事のために早足で牛舎に帰る牛

観光用にネットそばにつなぐ。乳牛はメスなのになぜか「太郎」と牛に呼びかけるという

牛舎に牛を入れるのは朝6時と夕方4時の一日2回だけ。牛が餌を食べている間に搾乳する。影山さんが一頭ずつ、綱をもって牛舎に入れるのだが、待ちきれない牛は杭から綱を外したとたん、自分から早足で牛舎に向かう。食事と搾乳が終わると、また外に。
乳牛が快適と感じる気温は13度〜16度。「だから夏は涼をとれるように木陰の下に繋いでいます」。
大東農場のもう一つの特徴は、牛の角を切らないということだ。広い所で飼育されているので、角で闘い、ケガをすることもないからだ。「角を切ると牛は長生きをしないと言われています。うちでは現役の16歳の牛もいます」。

産地と工場が近いため鮮度が保持

東京牛乳

「東京牛乳」の生乳を生産している多摩の酪農家が中心の東京都酪農業協同組合(瑞穂町)は、集乳した生乳を協同乳業(株)に出荷。同乳業は西多摩郡日の出町にある東京工場で殺菌パックして販売する。最も遠い牧場でも、東京工場とは車で1時間程度の近さだ。生乳は搾乳後、時間と共に味とコクが変化していく。「産地に近いほど味がいいので、東京牛乳の味は抜群です」と同協同組合筆頭理事でもある影山さん。
夏は牛も食欲が落ちるから脂肪分が減る。逆に食欲旺盛な冬は脂肪分の多い、濃厚な牛乳になる。
多摩産の生乳だけで、成分無調整。「東京牛乳」の乳脂肪分は3.6%以上、無脂乳固形成分は8.4%以上と一般的な成分無調整と比べると高い。
大東農場は敷地7町歩。その半分が飼料となるトウモロコシ畑。ハウスでは、長男の正弘さん(46)がイチゴの高設水耕栽培をしている。今年は2月中旬から店頭販売をする予定だ。
■大東農場 青梅線小作駅東口からバス、誠明学園南行に乗り、バス停「物見塚」下車、5分。青梅市今井5丁目2440-70 電話番号0428-31-5600

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