vol.6 大雪、山間部の人々は(奥多摩町峰谷・檜原村湯久保・檜原村藤倉)

「孤立する覚悟はできている。でも…」

2度目(14日~15日)の大雪の後は積雪約1㍍。隣の家の人(右)と共に雪掻きを進める

2度目(14日~15日)の大雪の後は積雪約1㍍。隣の家の人(右)と共に雪掻きを進める


 2週連続で記録的大雪に見舞われた2月。東京の山間部では、複数の集落が孤立した。奥多摩町のワサビ田は雪に覆われ、檜原村の福祉モノレールは運行できない状態だ。「山で暮らす以上、孤立する覚悟は出来ている。でも、今回は集落の許容範囲を超えた雪の量だった」という。

「ワサビ田までたどり着けない」 奥多摩町峰谷

 昨年10月17日号で紹介した坂村清美さん(52)の暮らす奥多摩町峰谷地区は、2月15日から23日まで9日間にわたって孤立した。家から町役場や奥多摩駅まで15・5㌔。その道が閉ざされた。
 役場に勤める次女(23)は1週間出勤できず、降雪時に町外にいた夫(56)は10日間帰宅できずに息子宅に身を寄せた。
 家の裏手にある小屋や車庫は、裏山からの雪崩や雪の重みで一部がつぶれた。同町で生まれ育った坂村さんにとってこんなに積もったのは初めてだが、食料も燃料もあり悲壮感はなかったという。「テレビが4~5日間映らなかったから雪掻き以外することがなくて退屈だった」と笑う。
 ただ、代々続くワサビ田の様子が気にかかっている。山奥にあるワサビ田までの林道の積雪が手付かずで、たどり着けない。ワサビの成長には流れ続けるきれいな水が欠かせないが、「雪崩などで水路が塞がれてワサビ田に水が行き渡らなければ生きられない。でも、積雪量が多すぎて行きようがない。見回るのは春まで無理かもしれない」

「集落の許容範囲超えた」 檜原村湯久保

屋根の上にもずっしり=いずれも檜原村湯久保。松村直美さん提供

屋根の上にもずっしり=いずれも檜原村湯久保。松村直美さん提供


 標高650㍍ほどに位置する檜原村湯久保地区は、8日から5日間、15日から7日間孤立した。両親の家の隣で夫と長男の優一朗君(2)と暮らす松村直美さん(34)も「報道されているほどの緊迫感はなかった」と振り返る。

 雪掻きの合間にはソリ遊びやかまくら作りなどを楽しんだ。「ここに暮らしているとまとめ買いや備蓄は当たり前。降雪で2~3日間道が閉ざされることは珍しくない。孤立する覚悟は日常的にできている」
 ただ、灯油や薬がなくなる心配をしていた高齢者もいたという。松村さんは「雪掻きを協力し合ったり雪遊びを楽しんだりして、地区全体が暗くなることはなかった。でも、急病人が出たらなどと思うと怖い。若い人が少なく、雪掻きの人手が足りなかった。集落としての許容範囲を超えた積雪だった」と話す。

モノレール、運行できず 檜原村藤倉

 11月号で紹介した、車道のない山奥の人家と集落とを結ぶ檜原村の福祉モノレール。4路線がある藤倉地区も1㍍を超える積雪に見舞われ、レールが傷んで運行できない状態だ。同地区の民生委員を務める小林茂雄さん(68)は、徒歩で雪をかきながら路線の終着にある小泉肇さん(83)宅にたどり着いた。普段は1時間で到着するところ、半日近くかかったという。
 同村福祉係によると、レール近くの積雪は度重なる雪崩により3㍍を超える場所もあり、雪がなくならないと修理もできないという。小林さんは「モノレールを頼りにしている高齢者も多い。なるべく早く雪を除去してレールを直していけたら」と話す。

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