お座敷でくつろぎながらみんな大好き、鮨と蕎麦
昭島駅の南口を出て立川方向に線路沿いを6分。住宅街にほっとする店がある。南向きの庭に面した暖かく明るいお座敷。掘りごたつ式の席もあり、気のおけない友達とのランチにぴったりの雰囲気だ。
店主の石川正さんは、18歳から鮨職人の修行に入り、この道一筋50年。独立して立川などで自分の店を持っていたが、10年前に自宅を改装して、妻のよし子さんとふたりで営む今の店をスタートさせた。開店にあたり、鮨だけより蕎麦もあったほうがいいと考え、蕎麦店で勉強し、蕎麦打ちとつゆの作り方などを身につけた。蕎麦好きで鮨好きという人は多い。ほとんどの人が、鮨と蕎麦に小鉢とデザートまでついたセット(1575円)を注文する。
蕎麦にはキリッと濃いめのつゆ。薬味はネギと辛味大根で、わさびはあえて添えない。「わさびがお好きな方は言ってくだされば出しますが、辛味大根は濃いめのつゆから甘味を引き出して、蕎麦ととてもよく合っておいしいと思うんです」
もちろん、50年のキャリアの鮨は、見た目も味も一級品。週に1、2回、始発電車に乗って築地市場まで仕入れに行く。鮨ネタはその仕入れによって変わるが、赤、白、黄、黒、緑といった各色を揃えるという鮨の基本を押さえた見映えの良さが、テーブルに運ばれたとたんに食欲をそそる。ごはんのかたさや酢の具合もちょうど良く、鮨というご馳走を味わう喜びに満たされる。