vol.9  日本経済の長期停滞(2)

アベノミクス「三本の矢」を放つことによって日本経済を長期停滞から脱出させる―そう公約して出発した安倍政権は、その公約を果たせないままに退陣してしまいました。日本経済は未だに長期停滞のさ中にある―そのことを前回に書きました。なぜ安倍政権は公約を果たせなかったのでしょうか?
その理由は明らかです。アベノミクス「三本の矢」が的外れの矢だった、日本経済を長期停滞から脱出させるには有効な政策ではなかった、ということです。
アベノミクス「三本の矢」の中心にあるのは「第一の矢・大胆な金融政策」です。
この政策は、日本銀行が民間金融機関に、その保有する国債を大量に買い上げるなどしてその代金を現金で支払う、という政策です。そうすると、民間金融機関は増えたお金を元手に民間企業や個人への貸出しを増やすだろう、そうすると、企業は設備投資を、個人は住宅建設や消費を増やすだろう、景気が良くなり日本経済は長期停滞から脱出できる、というのです。
ところが、そうしたことは起こりませんでした。現実に起こったことは、民間金融機関に供給された大量のお金は、そのまま金融機関の内部に止まり、企業や個人には流れ出していきませんでした。結果として、設備投資や消費などは増えず、日本経済は長期停滞から脱出することができませんでした。
金融機関から企業や個人にお金が流れ出していかなかった理由ははっきりしています。この政策が採られた当時、日本では既に長期にわたる金融緩和が行われており、企業や個人は十分な資金を持っていたからです。
日本経済の長期停滞の原因はお金不足ではなかった、ということです。それでは日本経済長期停滞の原因は何だったのか、次回以降に考えていくことにします。
(暮らしと経済研究室 山家悠紀夫)

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