vol.10 日本経済の長期停滞(3)

アベノミクス「三本の矢」では日本経済を長期停滞から脱出させることができなかった、「三本の矢」が長期停滞の真因に届かない「的外れの矢」だったからである、と前回に書きました。それでは長期停滞の真因とは何であるか、ということです。
迂遠なことのようですが、それを知るためには、長期停滞がいつから始まったかを知る必要があります。
一般には、バブルがはじけてから(90年代の始めから)、と理解されています。安倍内閣もそう捉えていました。たしかに、バブル破裂後の日本経済は3.4%(91年)、0.8%(92年)、マイナス0.5%(93年)という低成長に陥りました。この辺りから長期停滞が始まったという見方に一理はあります。
しかし、先に見た成長率のその後を見ますと、94年、1.0%、95年、2.6%、96年、3.1%と、経済は順調に回復しているのです。
その流れが突然変わったのは97年半ばからです。春闘賃上げ率が1.1%(96年)から1.6%へと高まり、96年以上の経済成長が期待されていた97年ですが、その6月から景気は後退局面に入ります。97年の成長率は1.0%へと96年に比べ大きく低下しました。その後、98年、99年は二年連続してのマイナス成長です。ついでに言いますと、その後の日本の成長率は96年の3.1%を一度も超えることなく現在に至っています。(2010年は4.1%でしたが、前年のリーマン・ショックによる落ち込み=成長率、マイナス5.7%=の反動ですから例外)。
長期停滞は97年から始まった、ということです。97年に何があったのか、次回にそれを見ます。
(暮らしと経済研究室 山家悠紀夫)

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