あの日(3・11)が近づいてきた。震災直後からボランティア活動を行い、またボランティアのコーディネートも行ってきた宮城県仙台市のお寺(西本願寺)は、現在も継続的な支援活動を展開している。
震災から1週間後にセンターを立ち上げた
浄土真宗本願寺派(西本願寺)の本願寺仙台別院を訪れた。寺は震災直後に炊きだしをしていたが、震災からわずか1週間後の3月17日に、被災地支援を行うことを目的にしたボランティアセンターを立ち上げた。それが「東北教区災害ボランティアセンター」(以下、センターと略)だ。当初は寺の職員が運営していたが、間もなく専従のスタッフが活動を担うようになった。スタッフは現在3人。
スタッフの朝枝遊心さんと皆川麻由さんに聞いた。
「センターの立ちあげをした頃の活動は、被災者に救援物資を届けることと、津波による流入物の撤去が中心でした」と朝枝さん。
「寺が運営していた幼稚園が閉園して建物が丸ごと残っていたので、宿泊施設(無料)として1日に50人ほどの受け入れができました。学生ボランティアが多かったですね」と皆川さん。宿泊を伴わないボランティアまで数えると「これまで3万人を超えています」という。
流入物撤去の活動と並行して、積極的に行ったのが「お茶会活動」である。
6年目を迎えてできることは
朝枝遊心さん(左)と皆川麻由さん[/caption] 行政や社会福祉協議会と連携しながら、お茶会は震災から3カ月後の2011年6月から、名取市の仮設住宅などを中心に8カ所でスタート。その後は、借り上げ住宅、自主避難者といった人を対象にしたセンターを会場としたサロン活動を展開してきた。
センターでは他に、仮設住宅などの居室訪問活動、協力団体における写真洗浄活動、植樹や行方不明者捜索活動などに参加するボランティアのコーディネートを実施してきた。5年の活動を経て変化はあるのだろうか。
「確かにボランティアは減少しています。仮設では、『昔(震災直後)は沢山の人が来てくれたのに』と嘆く人がいます。忘れられていると思っているようです」(朝枝さん) だからこそ、継続した支援が必要だと朝枝さんは言う。
センターでは居室訪問するボランティアを増やすために、養成講座を開催している。仙台市や陸前高田市、大船渡市で実施し、これまで190名が受講し現在は15人以上が活動を行っている。
朝枝さんは「仮設は今では半分以上が空き家状態です。残っている人たちの焦燥感や孤独感を痛切に感じます」と言い、支援はこれからも必要だと話した。
「忘れないでほしいです」と取材に応じてくれた2人は言う。何かをしたいと思っているのであれば、手紙を送るのも良いし、足を運んで下さいとも言う。
被災地の6年目の春は、人々にどうだろうか。
浄土真宗本願寺派 東北教区災害ボランティアセンター 仙台市青葉区支倉町1-27 電話022-227-2193 ファクス022-227-2195 https://otera-vc.jimdo.com/
(介護福祉ジャーナリスト・甘利てる代=八王子市)