vol.31 復興の道のりはまだ遠い

 震災から1年半後の2012年9月、宮城県仙台市のNPO法人が冊子を創刊した。月刊「地域支え合い情報」だ。東日本大震災で被災者となった人々の暮らしを豊かにしたいと生まれた。現在まで29号を発行している。

あらたなご近所づくりがスタート

月刊「地域支え合い情報」。全ページカラーで写真を多く使った紙面から、被災した人々の近況を知ることができる

月刊「地域支え合い情報」。全ページカラーで写真を多く使った紙面から、被災した人々の近況を知ることができる

 創刊号の特集は「仮設住宅発 あらたなご近所づくり」だ。被災した人々が移り住んだ見知らぬ土地で自治会を立ちあげ、さまざまな活動を通して新たなご近所づくりに励む様子を紹介している。
 「地域支え合い情報」を発行しているのは、特定非営利活動法人「全国コミュニティライフサポートセンター」(以下、CLCと略)だ。もともとCLCは地域の住民の支え合い活動や町づくり推進に携わってきたNPOだ。
 創刊号から編集に携わってきた小野寺知子さんに話しを聞いた。
 「震災後、被災市町村はサポートセンターを設置し、そこに生活支援員を配置して被災者支援を行う計画を立てました。そしてその生活支援員の研修をCLCが行ってきたという経緯があります」
 生活支援員から、仮設住宅での日常支援のヒントとなる情報誌があればいいという声を聞くようになって、定期発行の冊子構想を県に相談したという。
 「第1号より県を通じて、拠点のサポートセンター、コミュニティリーダーである民生委員、自治会、地域社協などに配布しています」
 表紙写真などへの反響が出始めたのは間もなくだった。「震災以降、音信不通だった知人を写真で見た。無事だったと分かって嬉しい」と。

被災地課題の変遷

編集部は小野寺さん(右)と木村利浩さん(左)を含む3人だ

編集部は小野寺さん(右)と木村利浩さん(左)を含む3人だ

 発刊から3年半。「最近はぜひ取材に来て下さいなどと連絡をもらう事が増えました」と小野寺さん。冊子では新たなまちづくりを行う自治会やグループを紹介してきているが、ちょっとした仕掛けがある。それは「これならマネできるかも知れないと思えるような取り組みに焦点を当てて取材してきました」と小野寺さん。丁寧に仮設を巡っての取材が垣間見える。
 一方、仮設での課題も変遷してきている。災害復興公営住宅の建設がすすみ、同時に自力で自宅を建て直して仮設を出ていく被災者も少なくない。空きが目立つようになった仮設の統廃合もはじまる。自治会リーダーが抜けた仮設では、折角つくってきたコミュニティが弱くなっているのも事実だ。
 「災害復興住宅での新たなまちづくりが必要です。個別的支援と地域支援の両方をやっていかないと、結局そこでも声をあげられない弱い人たちが取り残されます。また、仮設に残った人たちの自立支援も引き続き必要です」と小野寺さん。
 まちづくりは始まったばかりなのだ。
 「地域支え合い情報」の申し込みはCLC?022・727・8730蕭022・727・8737。年間12回、送料込み3696円。
 (福祉ジャーナリスト・甘利てる代=八王子市)

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