vol.76 浴恩館公園を中心に -小金井市-

遠くまで行かなくても 癒しと発見、まち散歩

小金井橋の歴史

 小金井公園の西門近く、玉川上水にかかる小金井橋から歩きはじめた。「小金井橋」の歴史は古い。架けられたのは1653年(承応2年)と言われ、1856(安政3年)に木橋から石橋に架け替えられて、明治時代は名勝地として絵画にも描かれてきた。玉川上水に船が通っていた頃、小金井橋上流左岸に船溜もあったという。1930年(昭和5年)に近代的なアーチ橋に架け替えられてシンボルとなり、2008年(平成20年)に今の橋になったが、レンガのアーチと要石は、今も橋の横に残され、歴史を語り続けている。

坂を歩き、花と木に会う

 小金井街道の東側、桜町病院横から下る「大尽の坂」は、見通しの良いゆるやかな坂。かつて、仙川の北側に醤油醸造を営む富豪があり、醤油を求める人たちが通る道として「大尽の坂」と呼ばれていたそう。ここから東へ歩いてみる。静かな住宅街にある桜町公園で、花壇の手入れをしている方がいたので「ごくろうさまです」と声をかけた。保存樹林の見事なモミの大樹を見上げたら、心が晴れ晴れした。真蔵院の古代蓮が咲くのはこれからだけれど、楽しみ。
 暮らしを彩り心に寄り添う植物が街にあることが嬉しい。

繁る緑の公園で深呼吸

 浴恩館公園は、1928年(昭和3年)昭和天皇即位大嘗祭の際の、神職更衣所を譲り受け移築した建物「浴恩館」がある公園だ。下村湖人が青年団講習所所長として講習生と語らい、小説『次郎物語』の構成を練った場所とされるが、今は「小金井市文化財センター」(月曜休館 入館無料)として、古文書や民具の展示を行っている。休館していたが、6月から開館の予定(状況により変更の場合も)。公園内は鬱蒼と繁る緑と池の水の輝きが日常を忘れさせてくれる雰囲気で、新鮮な空気が味わえる。
 コロナ禍が完全に去ったわけではない現在、注意すべきことを継続しつつ、街をゆっくり歩くことで、強ばった心を少しでもほぐせますように。

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