vol.76 水に沿って歩く -昭島市・福生市-

 山並みを遠くに見て水に心を潤わせ歩く

水の流れに誘われて

この連載の第一回は拝島駅から始まった。そのときは、昭島市側を歩いたが、今回は拝島駅南口を出て福生市の方向へ。
福生市は1970年に町から市になった。それまでの福生町は、1940年に福生村と熊川村が合併した町。「熊川」は今も地名に残る。その熊川の、熊川神社を目指して歩いた。

熊川分水と七福神

新奥多摩街道から多摩川寄りに路地を入るとある熊川神社の横には、熊川分水が流れる。熊川分水は、玉川上水の水を取り入れて流れ、今も静かな住宅地に潤いの景観をもたらす。
この熊川分水は、江戸時代の1791年に工事願いが出され、完成したのはほぼ百年後の1890(明治23)年とのこと。水が乏しかった熊川地区では取水は悲願で、百年の間の住民の願いの深さや困難に改めて思いをはせたいと思った。
東京都指定有形文化財の熊川神社本殿にお参りの後、境内のあちこちにいらっしゃる七福神を探して歩いた。築200年近くの母屋で「杜の美術館」も併設されているが、こちらはコロナ収束までお休みしている。

せせらぎに耳をすまし

熊川神社から少し北の「清水坂」を下りると、「せせらぎ通り」という遊歩道が整備されていて、ここがとても素敵な遊歩道。歩いたときはちょうど、落花した椿がたくさんせせらぎに流れて、黒澤明監督の映画『椿三十郎』(1962年)の有名なシーンを思い出した。
途中の階段で崖上に上がると「せせらぎ遊歩道公園」。ここは展望台になっていて、遠く奥多摩の山々が見える。ウグイスの鳴き声を聞きながら稜線を見渡して深呼吸すれば、みるみる心が洗われていくようだ。
睦橋通りにぶつかったので通りを渡り、多摩川沿いの福生南公園へ。河川敷に整備された広々とした公園で、川を渡る風が心地良い。花を見ながら歩く家族や、デッキチェアを持ってきて本を読む人などがいた。
睦橋通りから斜めに入る道をちょっと行くと石川酒造があるので、地酒や地ビールで一休みするのも良さそう(火曜定休)。

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