vol.57 多摩森林科学園 -八王子市-

歩きながら学びもある桜から新緑の季節へ

守られた森の中を散策

 JR中央線高尾駅北口から歩いて10分ほどで、森林総合研究所多摩森林科学園に着く。森林の環境や動植物の保護、研究を行っている。江戸時代は幕府直轄地、明治時代は御料林として保護されていた土地のため、もともとあったモミやスダジイなどの常緑樹が多い。
 1921年(大正10年)に、宮内省帝室林野管理局林業試験場として発足、1988年に「森林総合研究所多摩森林科学園」となり、その4年後から一般公開がはじまる。研究の地でありながら、一般の人が散策できるよう整備されている。
 遺伝資源保存される桜の保存林は、約8ヘクタールの広さに多くの種類の桜、約1500本が植えられている。江戸時代からの品種や、各地の著名な桜がある。2月の寒桜からはじまり、4月中旬から咲く八重桜、深山桜まで、もう終盤だがまだ楽しめるはず。訪れた4月初旬は満開の木が多く、薄いピンク色に染まった丘の斜面を見渡せる「関山ベンチ」では、たくさんの人が写生をしていた。桜の後は新緑。桜とはまた違う、緑の濃淡がつくりだす景色を描きに来る人も多いだろう。

日常に生かされる木

 ほぼ毎日、10時~と、13時~、ガイドツアーがあり、予約不要で一人でも参加できるが、開催日は受付やホームページで確認のこと。ガイドなしでも「森のポスト」をたどりながら散策すると楽しい。「森のポスト」は、樹木についての説明パネルのついたポストで、木を使った身近な物が中に入っている。たとえば、スギを薄く削って作る「経木」が入っていて、スギには温度や湿度を調節する効果があることが説明されている。60年ほど前の鉛筆は、北海道のイチイで作られていたそうで、スギやヒノキの鉛筆と一緒に入っていて、手に取って質感を確かめられるのも面白い。
 知的好奇心とリラックスが同時に満たされ、少なくとも2時間は楽しく歩ける。入園時間・9時半~15時半(4月は9時~)。入園料・大人300円/子供50円(4月は大人400円/子供150円)。休園日・月曜日(4月は無休)。

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