vol.60【番外編】あたらしい古書店を訪ねて(2)国分寺駅南口

 国分寺駅南口を出て線路沿いに左へ2分ほど。府中行きのバス乗り場を過ぎてすぐの国分寺マンションの半地下が、アンティークアヴェニューといい、小さな店がかわいらしく並んでいる。この中に「古書まどそら堂」と「おばあさんの知恵袋」という、本を心の糧とする人たちにとって大切なふたつの店がある。

自分の本棚を思い出す

 「古書まどそら堂」は、美術系の仕事をしていた小林良壽(よしひさ)さんが、2013年に開店。ドアにはイラストレーター原田治さんのポスター。70年代半ばから80年代にかけて、少女たちを中心に人気だった原田さんのイラストは、この店のイメージにぴったり。水色がアクセントのポップな古書店だ。
 小林さんは、人生の転機に「違う仕事を」と考え、古書店を開いたが、それまでに本屋や古書店で働いた経験はない。だから「スタンダードな古本屋とはちょっと違う店」と言う。児童書、漫画、食や旅に関するエッセイ、映画やアート。私が10代から20代の頃に好んだ傾向と似ていて、「自分の本棚を見るよう」と言うと、「よくそう言われますよ」と小林さん。「ふる(古)カワイイ」魅力に、少年少女の心を忘れない40代から50代なら魅かれるものがある。
 ここから徒歩3分の国分寺街道沿いにある「ギャラリーchibimado」も小林さんの経営。こちらは、通常のレンタルギャラリーのほか、テーマに沿ったセレクトの「夜の古本屋」など、古書イベントも不定期に開催。8/31(土)~9/2(月)の3日間は、「まどそら堂の100均古本市」を開催する。11時~19時(初日のみ17時まで)。

子どもと大人のために

 小人の家か、魔法使いの家か、オオカミの家か、想像がふくらむレンガの入口が「おばあさんの知恵袋」。新しい本が中心の絵本や児童書の専門店で、ブックカフェであり、レンタルスペースでもある。
 前身は、店主の三田村慶春さんのお母さんが1974年に始めた「船問屋」という名のレストラン。2002年に「おばあさんの知恵袋」になり、図書館司書を勤め上げた三田村さんが2010年から店主に。司書の経験を生かして、子どものそれぞれの年齢に合わせた絵本の選書や、読み聞かせのアドバイスなどをしてくれるほか、絵本好きが興味を持ちそうなイベントも随時開催している。
 そのひとつが「ビブリオ・パドル」という大人のための絵本の読書会。本を知る知的ゲーム「ビブリオ・バトル」に敬意を払いつつ、共に同じ船に乗ってパドル(櫂)を漕ぐような読書会として名付けられた。毎回夕食も提供し、和やかな雰囲気の中で「参加者それぞれの絵本への思いに耳を傾け合う場」と三田村さん。始めてから5年たち、現在は毎月最終週の水曜夜に開催(事前申込が必要)。
 大人だけではなく子どもが集まる店だ。「子どもの本離れと言われるけど、そうじゃない。子どもが本を読む場所から、大人たちが手を引いてしまっているんです」という三田村さんの言葉は心に響く。ここでは、子どもは大人に見守られながら、好きなだけ本を読むことができる。

●古書まどそら堂(国分寺市南町2-18-3国分寺マンションB-07B)13時~19時、火曜定休。
●ギャラリーchibimado(国分寺市南町2-10-10)。
●絵本とおはなしの店 おばあさんの知恵袋(国分寺市南町2-18-3国分寺マンションB-03A)11時~21時、月曜定休。

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