Vol.36 人権の森を歩く ー 東村山市 ー

学び、心に刻み、祈り、揺れる樹々の中を歩く

後世に残したい森

01_P121_arucoco_01 東村山市青葉町にある、ハンセン病療養所の多磨全生園。358116㎡の敷地に、現在いる180人ほどの入所者の居住区のほか、1909年(明治42年)設立以来の歴史的に貴重な建物や史蹟、資料館がある。これらを取り囲む樹々は、252種類3万本といわれ、入所者が一本一本植えてきたもの。後世に残したい「人権の森」と言われる所以である。
 まずは、国立ハンセン病資料館(月曜休館)でハンセン病と歴史について理解を深めておきたい。理不尽に隔離された過酷な生活、差別と偏見の社会が患者に負わせた苦痛、らい予防法廃止(1996年)への運動の歴史などが展示されている。

緑の遊歩道

 資料館の横に、「納骨堂」がある。ここに眠る4600人の方々に手を合わせる。自治会による「納骨堂建立のことば」と、東村山市が建てた「いのちとこころの人権の森宣言の碑」の文章は、ともに心にしみ入るものだった。ここから、森林浴歩道が整備されている。
 歩道をぬけると「望郷の丘」がある。木の根株を積み、土をかぶせて踏み固めて造った築山で、ここから秩父の山並みや富士山が見えたという。帰れぬ故郷と会えぬ家族を思ってここに登って遠くを見ていた人たちのことを思った。

交流のレストラン

 全生園に暮らす女性と、人生につまずいた男性との心の交わりを描いた映画「あん」(2015年)は、全生園もロケ地になった。園の中心部にある食事処「なごみ」も登場する。映画の協力者としてエンドロールに名前も出る「みっちゃん」こと古川美智子さんが仲間とともに営む。「全生園を理解してもらうことがまず一番なんです」と言うみっちゃんが、食堂の名物を、と考えたメニュー「森の釜めし」を食べた。お米から炊いてふっくらしている。「お焦げ」も香ばしくおいしい釜めしだった。園内は広いので、散策の途中で食事や休憩のできるこんな食堂はありがたい。
 (※入所者の居住区には立ち入らないよう散策しましょう)

Comments are closed.