vol.55 東伏見稲荷神社 -西東京市-

神社と遺跡のある町を如月のきまぐれ散歩

東伏見になった町

 東伏見稲荷神社は、1929(昭和4)年に創建され、今年鎮座90年。「東伏見」という名は、京都伏見から東という意味で、当時「上保谷(かみほうや)」駅だった西武線の駅名も「東伏見」駅に変更された。東伏見駅南口を出るとすぐ右手から、大きな鳥居に導かれるように神社まで徒歩10分ほどで着く。お正月には初詣の人で混雑していた境内も、今の時期はとても静かで、むしろ心を落ち着けてゆっくりお参りすることができる。

小さな「昔」を探して

 伏見通りにある「夜泣き地蔵」がかわいらしい。各地にある夜泣き地蔵は、夜泣きする赤ちゃんを抱いてお地蔵様にお参りしたら泣き止んだ、という話がベースになっているけれど、今と違って夜が真っ暗だった時代に、泣く赤ちゃんをあやしながらお地蔵様に拝む姿を想像すると、せつない。
 伏見通りは交通量は多いが、歩道は広く歩きやすい。ちょっと脇道に入ると、小さな個人商店がぽつんぽつんとあり、古い住宅も残っている。西東京市は、2001年に田無市と保谷市が合併してできた。このあたりでは、かつての「保谷市」の名前が入ったマンホールの蓋を見ることができる。

散歩の後は鯛焼きを

 下野谷(したのや)遺跡公園で一休み。この公園の下には、縄文時代中期の集落跡がある。石神井川流域の拠点となる集落群で、南関東最大級とも言われている。高台になった遺跡公園から、早稲田大学のサッカーグラウンドが見える。選手達の声とボールの音を聞きながら、縄文時代から現代へ。石神井川を渡って、東伏見駅に向かう。駅前のアイスアリーナの前に、鯛焼きの屋台が出ている。雨の日と木曜と土曜以外はここで鯛焼きを売る鯛焼き「よしかわ」。小豆と小麦は北海道産。焼け目が香ばしい薄い皮と、甘さがちょうど良い熱々あんこ。
 2月の寒空の下を歩いた後には最高のおやつ。近所の人、自転車の青年、幼児の手を引いたお母さんなどが次々に買いに来て、焼けるのを待つ間になにげなく始まる立ち話も楽しい。

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